レクサスが「原点回帰」を今あえて掲げる意味 電動化時代の「欲しい」と思えるクルマ造り
冬晴れに恵まれた年末の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で、毎年恒例のレクサスオールラインアップ試乗会が実施された。その名の通り、現在販売されているレクサス全モデルを報道陣が公道で試乗できる機会だ。今回の目玉は、年次改良を施した「LS」と「IS」である。
開催のタイミングで、政府が進める「2030年代での内燃機関(ガソリン車・ディーゼル車)新車販売禁止」が世の中で大きな話題となっていたこともあり、筆者はレクサスLS、ISの開発主査らと「レクサスの電動化」に焦点をあてた意見交換をした。その中で出てきた言葉が「電動車になっても、レクサスが欲しいと思っていただくこと」だ。
まず、レクサス電動化戦略「Lexus Electrified(レクサス エレクトリファイド)」の概要について触れておきたい。
レクサスの電動化ロードマップ
2019年の東京モーターショーで、レクサスインターナショナル プレジデントの澤良宏氏(当時)が、4輪にインホイールモーターを装着したコンセプトカー「LF-30 エレクトリファイド」を前にして、レクサスがこれから進む電動化への道を紹介した。
それによると、基本路線は国や地域による電動化政策や電気インフラなどの社会情勢を踏まえたうえで、HV(トヨタのハイブリッド車の表記)、PHV(同プラグインハイブリッド車の表記、一般的にはPHEV)、EV(電気自動車)、そしてFCV(燃料電池車)を適材適所に導入するというもの。
導入ロードマップは導入年別とし、2020年(HV/PHV:2モデル、EV:1モデル)、2021年(HV/PHV:2モデル)、2022年(HV/PHV:2モデル、EV:1モデル)、2023年(HV/PHV:3モデル)とされた。2024年以降はロードマップにボカシを入れて、導入に対する柔軟性を主張している。
こうした電動化への動きを海外プレミアムブランドと比べて、「レクサスはコンサバではないのか」という印象を持つ人もいるだろう。PHEVについてはメルセデス・ベンツ、BMW、ボルボなどが、またEVではテスラを筆頭にアウディやポルシェを含むフォルクスワーゲングループやゼネラルモーターズ(GM)が積極的な商品導入を行っているからだ。
また、中国では事業継続性に関して不安が残る企業が多いとはいえ、国策のNEV(新エネルギー車)規制を社会背景として、各種のEV関連ベンチャーがプレミアムEVを発表している。
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