レクサスが「原点回帰」を今あえて掲げる意味 電動化時代の「欲しい」と思えるクルマ造り
今回の試乗会でもレクサスの電動化ロードマップが提示されたが、2019年の東京モーターショーとまったく同じ。「トヨタ全体としての電動化戦略の中で、レクサスの電動化戦略も方向性は変わっていない」(レクサス関係者)と強調する。
また、筆者からは昨今の電動化に関する社会情勢がESG(環境・社会性・ガバナンス)投資の観点で大きな変化が起こっていることや、政府の2050年カーボンニュートラル政策におけるグリーン成長戦略の影響などについても話題を振ったが、今回の参加者は開発関係者が主体であり、現在進めているモノづくり方針「ALLWAYS ON」の大切さを提示するにとどまった。
だが、そうしたレクサスらしさを目指すモノづくり方針の成果をLSおよびISを実際に走りながら感じることで、「レクサス エレクトリファイド」の本質が見えてきたようにも思えた。
ITのような”アジャイル開発”の概念
レクサスのモノづくりを体系づける、三角形の図がある。ベースにあるのが「レクサスDNA(静粛性と乗り心地)」、その上に「レクサス ドライビング シグネチャー(レクサス独自の乗り味)」、さらに上に「レクサス エレクトリファイド」と自動運転など高度運転支援システムの「レクサス チームメイト」がある、という描き方だ。
つまり、EVであれ自動運転であれ、トヨタ/レクサスがこれまで積み上げてきたクルマ本来の性能である「走る・曲がる・止まる」を突き詰めていくことで、ユーザーに「レクサスが欲しい」と思ってもらえる商品に仕立てていく、という至極自然な考え方である。
そのためには、IT産業などでよく使われる“アジャイル開発”による年次改良を進めている。アジャイル開発の概念は、社会情勢や業界図式の変化に応じて、柔軟かつ機敏な開発体制を敷くイメージだ。これをレクサスは「ALLWAYS ON」と呼ぶ。
こうした開発姿勢について、2019年に年次改良したクロスオーバーSUV「RX」で、年次改良前後での大きな差を感じたが、今回のLSとISでも同様の感想を持った。レクサスが目指したのは「原点回帰」だ。
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