「レクサスIS」7年目でも全面改良しない事情 セダン市場とGSの生産終了で変わるISの役割

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内外装が大幅に変更されたレクサス「IS」(写真:トヨタ自動車)

レクサスは、6月16日にコンパクトスポーツセダンの「IS」のマイナーチェンジを発表(発売は秋ごろ)。新型コロナウイルスの影響で、オンラインでの公開となった。

現在のISは、2013年にモデルチェンジをした3代目で、今年で発売7年目となる。通常であれば、4代目へのフルモデルチェンジが近いと考えられる時期でもあるが、なぜマイナーチェンジにとどめたのだろう。

初代ISは、1998年に国内でトヨタ「アルテッツァ」の車名で販売されたFR(後輪駆動)の4ドアセダンだ。翌年に、レクサスISとして海外での販売がはじまる。

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トヨタは、1983年の8代目「コロナ」や5代目「カローラ」からFF(前輪駆動)を採用し、「クラウン」や「マークⅡ」(のちのマークXを含め)など中型以上の4ドアセダンはFRを継続したが、いわゆる5ナンバーセダンはFF化を進めた。

一方、ドイツのメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」などはFRを継承し続け、比較的小柄な車体を生かす俊敏なFRならではの操作感が、消費者の心をとらえてきた。

いわゆる世間でいうプレミアムブランドとしてレクサスを立ち上げたトヨタは、コンパクト4ドアセダンでも、ISによってCクラスや3シリーズの競合として狼煙をあげたといえる。実際、海外への展開では、欧州でまず販売を開始し、次いで北米での販売を始めたことからも、ドイツ車を意識した様子がうかがえる。

FRセダンへ再挑戦への思いが伝わった

日本でアルテッツァが発売された当時、トヨタは再びFRのコンパクト4ドアセダンに挑むとして強力に販売促進を行い、1998年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。2001年には、スポーティなステーションワゴンといった独自の価値観を持つ「アルテッツァジータ」を追加した。

「アルテッツァ」はコンパクトなFRモデルだけに「AE86の再来」とも言われた(写真:トヨタ自動車)

エンジンは、直列4気筒と6気筒の2種類があり、排気量はともに2.0リッターだった。4気筒エンジンには6速MTの設定があり、運転操作を存分に楽しめるFRセダンへの意気込みが表れていた。6気筒エンジンは発売当初ATのみだったが(のちにMTを追加)、上質な4ドアセダンという別の趣があり、Cクラスや3シリーズに対する競合意識が感じられた。

プラットフォームは上級車種である「アリスト」(のちのレクサスGS)の改良型が採用され、サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンを採り入れるなど、FRのコンパクト4ドアセダンに再挑戦する強い思いが伝わる構成であった。

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