ベンツ×BMWの提携がすぐに打ち切られた事情 新たにNVIDIAとの提携を発表した真意とは

拡大
縮小
メルセデス・ベンツとBMWは次世代自動運転技術の開発で提携するとしていたが……(写真:ダイムラー)

6月19日、ダイムラーとBMWから同時にリリースが出され、昨年7月に推進が発表されたばかりの次世代自動運転技術の開発におけるコラボレーションが、「一旦」というただし書きつきとはいえ、打ち切りになることが明らかにされた。「長期的な」という括りがついていたはずのコラボレーションだが、結局1年も経たないうち、何も成果を残さないうちに中止になったわけだ。

両ブランドともに、この合意解消は「友好的なもの」だと言い、実際に技術的コラボレーション自体は、他の分野において継続されるという。「今後、協力関係が再開される可能性もある」とまで言及されているのだが、目玉だった項目があっさり頓挫してしまったことは間違いない。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

中止の理由として、BMWの技術開発担当役員であるクラウス・フレーリッヒ氏は「私たちが現在使っている最新世代のテクノロジーは、非常に強力なセンサーとコンピューティングパワーを備えた堅牢なモジュラーシステムとなっています。非常に強力で、また高い持続可能性を持つものです。これから長年にわたって、ユーザーのニーズを満たすよい立場にいると確信しています」と言う。

インテルやモービルアイとも提携していたBMW

一方で、メルセデス・ベンツ カーズCOOにしてダイムラーグループリサーチの責任者であるマークス・シェーファー氏は「脱炭素化に向けて、デジタル化はメルセデス・ベンツの戦略の柱です。急速に変化する環境課題に備えるために、自動車部門以外のパートナーとの可能性も探っています」と言い、両社は引き続き、独自路線で開発を進めていくとした。

率直に言ってしまえば、こうなることがまったく見えていなかったわけではない。そもそも次世代の自動運転技術については、両社ともそれぞれさまざまなパートナーと開発を進めていた。特にBMWはインテル、モービルアイ、FCA、アンシスなどと広範な提携の下に取り組み、可能性を探っていたのだ。

次ページ目指すゴールは同じだったはずだが…
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT