ベンツ×BMWの提携がすぐに打ち切られた事情 新たにNVIDIAとの提携を発表した真意とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それでもダイムラーとBMWがタッグを組むことにしたのは、結局のところ目指すゴール、つまり「自動運転技術の実用化」という目標が一緒だったから。それなら個別にやらず、リソースを共有したほうがいい。そう考えたのは十分に納得できる。

それがうまく運ばなかったのは、両社が今まで個別に進めてきた技術開発、さらにはビジネススキームを解きほぐすのが、想像していた以上に大変で、コストもかさむ作業になりそうだと明らかになったからだろう。実際、契約が締結される前の段階で専門家との詳細な協議や、技術ロードマップについてのサプライヤーとの討議を行うことができなかったのだという。

要するに、いざ蓋を開けてみたら想像より難儀なことで、「それならやっぱりやめますか」という結論に至ったわけだ。

ダイムラーはNVIDIAとの提携を発表

背景にはCOVID-19による経済状況の悪化もあるとされるが、同じだと思っていた両ブランドの思い描くゴールにも、多少のズレがあったのかもしれない。袂を分かったうえでの両ブランドの次世代自動運転技術開発については「現在または新規のパートナーとの連携も含まれる場合があります」とされている。

実際に、この発表からわずか5日後、ダイムラーはNVIDIAと共同で発表を行った。

ダイムラーとNVIDIAとの提携は広範囲にわたる(写真:ダイムラー)

この発表では、両社の提携により、将来の車両に搭載されるコンピューティングアーキテクチャの開発に共同で取り組むこと、そして2024年以降に発売される次世代のメルセデス・ベンツ車に、オンラインアップデートによる機能拡張が可能な自動運転機能を搭載することを目指すことが明らかにされている。

勘ぐった見方をすれば、こうした動きが水面下で進んでいたからこそ、ダイムラーはBMWと別の道を行くことを決めたのかもしれない。しかし、このコラボレーションもまた興味深いものであるのはたしかだ。これまでボッシュのような長い付き合いのある、自動車セクターのサプライヤーと進めてきた自動運転技術の開発で、ダイムラーがシリコンバレーと組むのだから。

次ページNVIDIAとの提携に求めたものとは?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事