「レクサスIS」7年目でも全面改良しない事情 セダン市場とGSの生産終了で変わるISの役割

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アルテッツァとしての役割は初代のみで終了し、2005年には国内外ともにレクサスISとしての販売となる。車体が大型化されただけでなく、外観の造形や室内の内装など含め、車格が格上げされ価格も上がった。運転感覚や乗り味、品質は初代以上にドイツの競合他社を意識したものとなり、高速走行域でもっとも性能を発揮する進化を求めた様子が伝わってきた。

一方で、初代(アルテッツァ)時代の身近な4ドアセダンをFRで楽しむ雰囲気は消え、ユーザーには、他の名の知れた輸入車を選ぼうとする心理が働いたかもしれない。3代目となって高性能志向はさらに強まり、かなりの高速域で走行しても競合他社に負けない性能を身に付けたが、国内でその醍醐味をどれほど味わう機会があるかといえば、もてあますほどの性能であったといえる。

Cクラスや3シリーズには、より高性能なAMGモデルや「M3」といった走りに特化した仕様もあるが、廉価グレードでは日常的な運転で快さを味わえ、気軽にFRらしさを楽しめる部分を持つ。一方のISは、乗る前から高速で走ることを身構えさせるようなところがある。それがISならではの特徴だともいえるが、果たしてそれが功を奏したかというと疑問だ。

FFプラットフォームを持つミドルクラスセダン「ES」(写真:トヨタ自動車)

2018年に日本に初導入された「ES」の販売が好調である理由は、肩の力を抜いて日常を快適に過ごせる1台としての“安らぎ”があるからではないだろうか。FFのESは高速域での性能をあえて求めず、そこが絶妙な総合性能をもたらしたといえる。

最上級の「LS」、スポーティなミドルクラスの「GS」、高い性能を体感させるコンパクトな「IS」というレクサスの中での個性や区分けはあるのだろうが、乗ることに対して身構えさせたり、とっつきにくさを感じさせたりするISとユーザーとの距離感は、2代目以降変わらないのが現状だ。とはいえ、この車格の4ドアセダンは、Cクラスや3シリーズのように、欧州ではセダンの中でも台数を稼ぐ車種であり、北米ではキャデラック「ATS」なども競合として加わる。

GSの生産終了で変わるISの役割

レクサスは今年の4月、GSについて廃止を決定し、8月に生産を終えることを発表していた。そんな中で、ISの行方が気になるところであった。

もしISも廃止してしまえば、プレミアムブランドとして外すことのできない後輪駆動の4ドアセダンの存在が希薄になってしまいかねない。かといって、主力となるほど販売台数を稼げないISをフルモデルチェンジすることも難しい。そんな理由から、マイナーチェンジによって存続させる決断が下されたのだろう。

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