レクサスが「原点回帰」を今あえて掲げる意味 電動化時代の「欲しい」と思えるクルマ造り

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LSの原点は、1989年に北米で発売した初代LS(日本でのセルシオ)だ。今回、その実車が展示されたが、これはレクサスの若手エンジニアを中心にレクサスの原点を学ぶための素材となったもの。部品を分解して3D計測することで、レクサス関係者が閲覧できるようデータ化し、そのうえでクルマ本体をレストアしてしっかりと実走できるようにしている。

初代LSを活用した社内プロジェクトの紹介(筆者撮影)

こうした試みが、最新の年次改良にもしっかりと生きている。単なる技術開発ではなく、モノづくりの思想を開発者が全身で感じることが、最新LSにおいてクルマ全体の凝縮感が増すことに反映されていると感じた。レクサス関係者はこれを「体感を鍛える」と表現する。

今後、レクサス各モデルで電動化と自動運転化が進むことは必然だが、自動車メーカーとして当たり前の「よりよいクルマを造る」という企業人としての姿勢がブランド価値を生むのだと、改めて感じた。

販売台数増加よりロイヤルティ向上を

今回、レクサス関係者らとさまざまな角度から意見交換をしながら、最終的には「レクサスを欲しいと思っていただくこと」という言葉が、腑に落ちた。

具体的に言えば、ドイツメーカーのように、電動化を含めて各グレードでの多モデル化を進めるのではなく、レクサスの強みを生かせるモデルへ開発リソースを集約し、レクサスユーザーのロイヤルティ(忠誠心)を高めていくことが重要だと彼らは考えている。

これまでレクサスの立ち位置は、プレミアムブランドの中でも販売拡大の可能性が大きいマス市場向けのイメージがあった。

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しかし、今後プレミアムブランドの競争がさらに激しくなることが予想される中、レクサスとして単に販売台数増加を目指すだけではなく、いわゆる「ことづくり」の領域での新たなる事業化が期待される。実際、社内でその領域への対応が、2021年初頭から強化されるという。

レクサス誕生から来年2021年で、32年目。世界ブランドへと成長したレクサスの次世代戦略の進捗を、これからも現地現物現人を基本としてしっかりと追っていきたい。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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