29歳棋士「えりりん」全てを将棋に捧ぐ情熱人生

「常に勝ちたい」そして「将棋を普及したい」

大学の卒業論文では好きな先生に担当になってもらった。日常で使う将棋用語についての論文を書いた。

「例えば『成金』や『高飛車』などですね。江戸時代はとても将棋用語が多いんですが、江戸時代は将棋を誰もが知っていたからですね。現代だと『詰み』がネット用語であるくらいで、ほとんど新しい言葉はできていません。明らかに減っているのは、将棋が身近でなくなっているということなので、将棋関係者としては危機感を覚えなければいけないなと思います」

大学卒業後は将棋に専念し、2016年には女流二段に昇段した。

「女流二段になるのはとても難しいんですよ。60勝の勝ち星を上げたら昇段できるんですが、そもそも女流棋士は試合数が少ないので非常に難しいんです。そして三段になるには新たに90勝しなければなりません。大変ではありますが、昇段できると思っています。

将棋は、何もしないでいると、負けます。1日どれくらい将棋ができるか?というのをつねに考えています。女流棋士の皆さんは、皆さんが想像する以上にめちゃくちゃ将棋をやっていますね」

山口さんが女流棋士になったのは16歳のときだから、もう13年もプロとして活動していることになる。

対局だけではない幅広い仕事

女流棋士の仕事とはどのようなものがあるのだろうか?

「まず対局をすると、対局料が一定額もらえます。そして将棋番組の解説に出演したら出演料がもらえます。レポーター、インタビュー、イベントなどの仕事もあります」

将棋の公式戦の際、大盤の前で対局の解説をしたり、将棋番組で進行役や聞き手をしたりすることも多い。

「テレビで初めて聞き手をしたときは、台本でいっぱいいっぱいになってしまい、何を聞かれても『はい』しか言えませんでした。全部、棋士の先生にやってもらう感じでしたね。

高校、大学の頃は、周りの誰よりも稼いでいました。ただみんなは社会人になると稼ぐ額が跳ね上がりますが、私たちはあまり変わりませんから抜かれていきました(笑)。ただ、稼いでいるということは、長時間働いているということです。それは考えもので、ただ流されるように仕事をするのではなく、つねに何かを得たり、誰かに貢献できたりするようにしなければダメだな、と思っています。どんな仕事でもなにか学べることがありますし、学びたいと思っています」

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