ゲームストップ騒動に重なるバブル崩壊の記憶 ブラックスワンか、それとも市場のカナリアか?
ゲームストップ株の次の標的は「銀」といわれるが、2月1日の先物市場で銀価格は11%上昇し、1オンス=30ドルに達している。しかし、ゲームストップ株の下落などで銀価格は上げ渋っている。
銀は過去にも買い占めることで銀価格を吊り上げようという試みが何度か行われてきた。1979年、石油王H.L.ハントの息子3人が、銀を買い占めて銀価格を8倍に釣り上げた。市中に出回る銀の3分の1を買い占めたと言われるが、結局は「シルバー・サーズデー(銀の木曜日)」と呼ばれる暴落に見舞われて失敗している。
企業買収することだけを目的に設立された特別買収目的会社(SPAC)のことで、金融緩和によって大量のマネーが彷徨う中で、買収を目的に設立されたSPACはいまやアメリカ市場に398社も上場しているといわれる。この1月だけでも91社が上場し、250億ドルを投資家から集めたとされる。今年に入ってからだけでも、8兆円を超える資金がSPACによるM&Aによって集められた。上場する時点で、どんな会社を買収するのか公開していないために、白紙の小切手を買わされるのも同然だが、世界中からマネーが集まる。
日本も、バブルだった1990年前後には、アメリカの超高層ビル「エンパイア・ステートビル」を購入し、ゴッホの「ひまわり」を史上最高値53億円で落札した。2000年前後のドットコム・バブルと呼ばれたころにも、実体のない会社の株が次々と買われた。
「市場のカナリア」を誰が早く発見できるか
コロナのパンデミックによって形成されたバブルは、遅かれ早かれ破裂する。そのときに、誰よりも早く「市場のカナリア」を発見できた人が富を形成できるのかもしれない。とはいえ、現在の金融市場はデリバティブ取引だけでもその想定元本は数十兆ドル単位とも言われる。AIのコントロールがなければ、いつ暴走してもおかしくない。
例えば、世界中の株式市場で取引されている「ETF(上場投資信託)」は、いまや日本市場でも時価総額ランキングの上位5銘柄のうち2銘柄も入っている。日本銀行のETF買いも有名だが、このETFを支えているのが、マーケットメーカーといったHFT(高速高頻度取引)業者だ。HFTの運用はむろん人間の手ではなくAIに委ねられているが、AIの制御能力を超える売買になったとき、世界はどうなるのか。
世界中の金融当局が、バブル崩壊を防ぐために監視を続けているとはいえ、つねにバブル崩壊は起きてきた。今回もまた、市場のカナリアは意外なところで鳴き始めるかもしれない。
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