ゲームストップ騒動に重なるバブル崩壊の記憶 ブラックスワンか、それとも市場のカナリアか?
仮想通貨のビットコイン(BTC)は、最近になって1BTC=5万ドルの大台を突破した。今年初めからわずか1カ月半で75%も上昇したことになる。デジタル通貨全体の時価総額は、いまや1兆4000億ドルを突破したそうだ。
株式市場もいまやバブルの真っただ中だ。アメリカ市場を代表するニューヨークダウ、S&P500、ナスダックの株価指数はそろって連日最高値を更新している。
つられて、日本の日経平均株価も念願の3万円台突破を30年ぶりに達成し、世界の株式市場の時価総額も、この6週間で6兆8000億ドル(約714兆円)も増加した、とブルームバーグが伝えている。
商品市場も、金価格こそ金利の上昇でややさえないが、代わりにプラチナが買われ、ゲームストップ株同様にSNSから発信された情報を基に買われた「銀」も大きく値を上げた。とうもろこしなどの商品市場も大きく値を上げており、金融マーケットは、いまや市場全体が空前のバブル状態といっていいだろう。
ゲームストップ・ショックを読み解くためのポイント
そんな状況の中で起きた「ゲームストップ・ショック」。これまで詳細に報道されているため概要は省くが、いくつかポイントがある。簡単に列記すると──
オンライン掲示板「レディット(Reddit)」の中にあるフォーラムのひとつ。個人投資家のカリスマ的な存在の人物が「ゲームストップ株」の買いを推奨したところから、今回の騒動が始まった。
手数料無料のオンライン証券。2019年にアメリカのネット証券の多くが売買手数料を無料にし、個人投資家の多くが使っている。ウォールストリートベッツでゲームストップ株の買い推奨を受けた個人投資家が、ロビンフッドに通常の10倍以上の買い注文を発注したため、ロビンフッドは多額の預託金を請求され、一時的に個人投資家の売買を停止。これが市場に大きな混乱をもたらした。
オンライン証券がなぜ売買手数料無料でビジネスができるのかというと、オンライン証券が受けた売買注文を「HFT(High Frequency Trading)」に委託する代わりにリベートを受け取る商習慣があり、手数料無料のネット証券の収入になっている。HFTは、売買のスプレッド(差額)で稼ぐ。ロビンフッドは、マーケットメーカーのHFT会社「シタデル」に株式の売買を委託していた。
厳密に言えば、顧客の利益の一部を収益源とするHFTが、無料のオンライン証券を支えているという構図だ。HFTはヘッジファンドが運営しているケースが多く、ロビンフッドが売買を停止した際には、シタデル系列のヘッジファンドを守っている、と批判された。
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