朝日新聞が赤字で「社員の購読を自腹化」の衝撃 部数減で苦肉の策、社員から不安や憤りの声も
朝日新聞社員からは「購読しなかったことで自身の評価に影響がないか」「上司からの圧力はないのか」といった声が上がる。また、社員による購読部数の下支えを掲げる会社側に対し、「これでは(自社製品を買い取らせる)自爆営業と同じではないか」と憤りを隠さない者もいる。
一方、会社側は「購読の有無という事実を評価の基準とする考えはないし、その点は従業員にも説明している」「購読の実態を把握しようとしていない」(広報)という。
希望退職に記者の配置転換も
中村新体制の基本方針には、ほかにも厳しいコスト削減策が並ぶ。その1つが希望退職者の募集だ。2024年3月期までに300人規模の募集を想定し、自然減も含めて2020年3月期比で計500人の人員削減を掲げる。
同時に非新聞事業の拡大へ、大規模な配置転換も実施する見込みだ。中村次期社長は社員への年頭メッセージとして「編集のノウハウを持った人がビジネス部門(中略)に貢献するという流れを加速させる」必要性を訴えている。現在、朝日新聞社が収益の3本柱と位置づける「デジタル(朝日新聞デジタルなど)」「イベント」「不動産」への人員異動を活発化させる見込みだ。
年頭メッセージの中で、とくにベテラン社員に対しては、やりたい仕事と会社から求められる仕事のズレがあった場合「この機会に、自らのキャリアデザインと本社の方向性について、じっくり考えていただきたい」と言及がなされた。
前出とは別の朝日新聞社員は「お金を稼ぐわけではない記者の数を減らし、ビジネス部門へ異動させる。もしそれが嫌であれば辞めてくださいということだ」と語る。
中村新体制の基本方針の冒頭にはこのように表記されている。「未曾有の赤字を乗り越え、事業構造を一気に転換し、成長するメディア企業として生き残り、ジャーナリズムを守る」。
しかし、新体制下で社員が不満を持ち、協力する体制が作れなければ元も子もない。大胆なコスト削減とともに、全社の機運を高めることはできるのか。中村次期社長の経営手腕が早くも問われている。
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