「新型MIRAI」乗ってわかった航続距離のリアル 水素充填なしで東京―大阪間の移動が可能に!

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基本スペックをおさらいしたところで、「じゃあ、実際にどれくらいの距離が走れるの?」というメインテーマに入っていく。初代MIRAIの航続距離は、カタログスペックで約630kmだったが、実際は400kmほどとロングドライブには少し心もとないものだった。

そこから航続可能距離30%向上であれば、少なくとも520kmは走れるだろうと予測。そこで今回は、一般道路と高速道路を織り交ぜて、実際の使用に近い条件で381.9kmのドライブに出かけてみた。

ちなみにMIRAIに限らず、電気自動車やハイブリッド車は、エアコンの使用によって大きく燃費が変わるが、今回はつねにオートエアコンを使用し、極端なエコ・ドライブも行っていない。新型MIRAIは、環境に優しい燃料電池車ではあるが、同時にラグジュアリーカーであり、踏んだ瞬間から加速していくモータードライブの気持ちよさと、FR化によるドライビングフィールの向上を売りにしている。

そんなクルマで燃費に気を使ってチマチマ運転するというのは野暮というもの。それに快適性を考えれば、エアコンもつねに使用するだろう。さらに気温の冬場は、燃費計測で不利な面も多い。それらの条件を考慮して、今回の燃費テスト記事を読んでもらいたい。

水素を満タンに充填した時点で536kmの表示

テスト開始前に水素を満タンに充填したところ、メーターに“536km”と航続可能距離が表示された。ちなみにこの数値は、オートエアコンをオフにした状態で、オートエアコンをオンにすると航続可能距離が489kmに変化。エアコンの使用状況によって航続可能距離が変わるのは、燃料電池車に限らず、電気自動車やハイブリッドカーでも同様だ。

ボンネットの中には、燃料電池システムの要になるFCユニットを搭載。カバーを装着しているので、普通の人から見ればエンジンとさほど違いは感じないだろう。このFCユニットで水素と酸素を科学反応させて発電を行う(東洋経済オンライン編集部)

新型MIRAIの場合は、エアコン使用で50kmほど航続可能距離が変化するようだ。ただ、思ったよりも航続使用距離が短いかなというのが第一印象だ。燃料切れで走行できないという状況を避けるため、メーカーも表示に余裕を持たせているのだろう。

水素を満タンにした状態での航続可能距離。左はオートエアコンオフの状態で536km、右はオートエアコンオンの状態で489kmと表示されている(東洋経済オンライン編集部撮影)

イワタニ水素ステーション芝公園で水素を充填し、さっそく山中湖方面に新型MIRAIを走らせる。距離としては、高速道路が約100km、一般道が約20kmの道のり。都内の一般道や山中湖周辺のワインディング、さらに高速道路とバラエティーに富んだ片道120km、往復で240kmを軽く走る。

その後は都内に戻り、次はアクアラインを抜けて千葉方面へ。合わせて高速道路を約300km、一般道を約80kmの合計380kmを走った。オドメーターを見ると“381.9km”と表示され、残りの航続可能距離は“162km”と表示さていたので、単純計算で543.9km(=381.9km+162km)は走れることになる。満タン時にオートエアコンを使用した場合の航続可能距離は、489kmだったのでそれよりは伸びているようだ。

381.9kmのロングドライブ後に撮影したメーター。水素の残量は1/4以上残っており、航続可能距離は162kmを示している(東洋経済オンライン編集部撮影)
次ページ実測で600km前後、東京―大阪間も充填不要に!
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