子の幸せから考える日本の親権や養子縁組の形 制度の壁が阻む血縁関係だけではない家族の形
親子・家族の形はいろいろあって当たり前
私がまだ14歳のとき。海外での初ホームステイは、たくさんの新しい価値観に触れた貴重な経験でした。一緒に過ごしたホストファミリーには、肌の色がそれぞれ異なる子どもが3人いて、3人がそれぞれ異なるタイミングで養子として家族に迎えられたのだと聞きました。
当時まだ5歳だったいちばん下の女の子が、「I’m adopted(私、養子なのよ)」と堂々と話してくれたことは、忘れられません。養子という制度が、家族の形の1つとして自然に定着している文化がすてきだと強く思いました。
そのとき以来、養子制度や里親制度に関心はあったものの、実際に足を運んで情報を集め始めたのは、つい昨年のことでした。ある児童養護施設では、職員の方が私の基本的な質問に親切に答えてくださいました。その方の話によると、子どもたちが施設で暮らす理由でいちばん多いのは、「親からの虐待」だそうです。次いで、親の病気や経済的理由などが続きます。
厚生労働省によると「児童相談所が対応した18歳未満の子どもへの虐待件数」は19万3780件で過去最高だったそうです(2019年度)。この大きな数字にも驚きますが、一方で虐待をはじめさまざまな理由をあわせ、児童養護施設などで暮らしているのは、4万人ほどだそうです。
その背景にあるのは、児童養護施設の数がたりないこと、日本の児童虐待に対する刑罰が諸外国に比べて圧倒的に軽いこと、などがあるといいます。さらに別の理由として、養子縁組や里親制度について、まだまだ認知度が低いことも忘れてはいけません。