子の幸せから考える日本の親権や養子縁組の形 制度の壁が阻む血縁関係だけではない家族の形
「養子縁組」とは、生みの親と別に「育ての親」が親権をもって育てること。「里親制度」は生みの親(=実親)が親権をもち、育ての親(=里親)は18歳まで世話をするものの、その後は生みの親元へ子どもを戻すか、子ども自身が18歳で自立することになります。
私自身、その違いをよく理解していなかったのですが、昨年東京都が開催する里親制度の説明会へ行き、詳しい実情を知ることになりました。
制度や血縁を超えた愛情の形もある
そこでお聞きしたのは、1歳で里親としてお子さんを迎えたある職員さんの話でした。里親になると決断したとき、その方のご両親はとても驚いたそうですが、今では子どもの世話を手伝いに来てくれたりして家族みんなで愛情いっぱいに過ごしているのだそうです。それを聞いて、制度や血縁を超えた愛情の形に胸が熱くなりました。
一方で、「制度」によって愛情が分断されてしまう、悲しい事実もあります。現在の制度では、里親に預けられている子どもの親権は生みの親にある場合がほとんどです。
ということは、里親に預けても、生みの親(=実親)が望べばまだ育児途中でも実親に子どもを返さなくてはならないのです。生みの親のほうに養育環境が整っていない場合でも例外ではありません。それは、子どもにとって適切なことなのでしょうか。
ちなみに、アメリカでは実親の元を離れて12~15カ月を過ぎた場合は、法の力で実親の親権を終了させ、養子縁組を行うことができるそうです。
血縁関係を大切にするという日本ならではの「実親」の考え方ともいえますが、子どもたちが自立して生き抜くために、親権や里親の形がどうあったらいいか、考え直すときがきているような気がします。
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