考えてみれば、アジア代表の日本もまた、大震災とデフレからようやく立ち直りつつある。消費増税の影響は思ったより軽微であり、今週は「骨太方針」と「新成長戦略」も発表された。黒田日銀総裁の発言は最近ますます自信に満ちていて、安倍首相に至っては「これでしばらく、経済のことは考えなくていいんだよね?」と言いたげに見える。
もっとも、日本が抱える「ご難」は他の3か国ほどの深刻さはなく、背負っているものが違っていた。コートジボワールに至っては、何度も国家分裂の危機に際している。2005年秋、W杯ドイツ大会への出場を決めた直後のドログバ選手は、テレビカメラの前に跪き、「皆さん、武器を捨てて選挙をやりましょう」と訴えたというエピソードがある。つまりドログバは国民的な英雄であるし、それくらいサッカーの存在が重いのだ。
ちなみにFIFAのランキングを見ても、コロンビア8位、ギリシャ12位、コートジボワール23位に比べ、日本46位とまったくの「格下」であった。よくまあ、戦前には楽観的な予測が出回ったものだと呆れてしまう。終わってみれば、ランキング上位2チームが決勝トーナメントに進出したわけで、順当な結末と言えるかもしれない。
つまり選手の層もサポーターの熱さも、われわれは世界の中では「それなり」の存在に過ぎなかったということである。
欧州の「南北の構図」を反映
逆に、ギリシャの最終戦は天晴れであった。日本がコロンビアに4対1で敗れている間に、コートジボワールに2対1で競り勝って、初の決勝トーナメント進出を決めた。ロスタイムに得たPKが決勝点になるという、劇的な逆転勝利であった。
特に今大会においては、かつて”PIIGS”と呼ばれた南欧の債務国が軒並み総崩れとなったが、これがサッカーの強豪国ばかりときている。前回王者のスペイン、前々回優勝のイタリア、ランキング4位のポルトガルは次々と敗れ去った。かろうじてベスト16に残ったギリシャは、欧州債務国にとって「最後の希望」的な存在であろう。
ちなみに債権国であるオランダやベルギー、ドイツなどは、楽々と決勝トーナメント進出を決めている。本来、サッカーは国力と無関係であるはずだが、なんとなく欧州における南北問題の構図が透けて見えるようでもある。
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