FIFAのホームページには、全世界のSNSからさまざまなファンの声が寄せられている。われらがザック・ジャパンに対しても、イランやフィリピンやマレーシアから、ときには中国などからも、「サムライよ戦え!アジアの誇りのために」といった熱いメッセージが贈られている。ザック・ジャパンが背負っていたのは、日本の期待だけではないのである。
数十億人というアジアの隣人たちの声援があるうちに、日本はもう少し実力をつけるべきであろう。中国やインドが本気になってサッカーを始めたら、アジア枠も「狭き門」になってしまうかもしれないのである。
「汚いビジネス」だが、ゲームは美しく素晴らしい
上述の「The Economist」誌の記事は、返す刀でFIFAの腐敗ぶりをぶった切りにしている。
Why on earth did anyone think holding the World Cup in the middle of the Arabian summer was a good idea?
(そもそもどこの誰が、真夏のアラブでW杯を開催するのが良いと思ったのだ?)
2022年のW杯はカタールで予定されているが、その誘致活動で5億ドルの裏金が使われていたことが報じられている。かかる腐敗は五輪やF1でも起こり得るが、FIFAでは日常茶飯事である。しかも誰も罰せられることはなく、78歳のブラッター会長は居座り続けている…と言うのである。
前回南ア大会が行われた2010年、FIFAは2018年の開催地をロシアに、2022年の開催地にカタールを選んだ。しかし6~7月という灼熱の季節の中東で、確かにサッカー大会は無謀であろう。その後、新興国経済が減速し、資源価格にも陰りが出てきた昨今では、ますますこの判断が疑問となってきた。現に今大会のブラジルも、政権への不満からW杯への反対運動まで起きている。
こんな風にビジネスとしては汚れていても、サッカーというゲームはつくづく素晴らしいと思う。五輪大会のように、強化選手が金メダルを量産する、なんてことは起こらない。仮にどこかの独裁国家が国威高揚のためにお金をかけたところで、サッカーチームを強くすることはできないだろう。サッカーチームはそれぞれに国家を背負っているが、政府までは背負っていないのだ。思うにこの点が、W杯の魅力の最たるものではないだろうか。
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