ルノー日産・ダイムラー提携、ブリュッセルの会見での質疑応答・一挙掲載【ルノー日産・ダイムラー提携会見(3)】

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--戦略的協力の中にインフィニティが含まれるが、ルノーのプレミアムカーはどうなるのか。

ゴーン会長 現時点で今決まっているプロジェクトにそれは含まれてはいないが、何でも可能だ。始まったばかりだからオープンに検討していく。これまでは秘匿で検討してきたが。

どこかでそういった共有化をして、両社にとってメリットがあれば協力関係が始まる可能性がある。ただ、慎重を期さないといけない。技術の交換や共用化は可能だが、値付けには限界がある。例えば、ベンツのプライシングの中には、ルノー日産のブランドではできないプライシングがある。ルノーのブランドや日産インフィニティであれ、それで交換できるものに限られる。

--今後、出資比率を上げる可能性はあるか。

両会長 3.1%を今後上昇させる可能性はない。

--ドイツの労働者に対して影響はあるか。

ツェッチェ会長 お互いの工場を競合させる意図はまったくない。フランスとドイツの従業員、そしてルノー日産、ダイムラーが事業を展開する全ての国にいえることが、競争力を向上し市場シェアを拡大する結果、さらに雇用が増える可能性がある。それが協力関係のそもそもの意図である。

--今回のアライアンスはダイムラークライスラーのようになることは一切ないか。また、ルノーは事前にほかの会社と話をしているはずだったかと思うが。

ツェッチェ会長 最初の部分はイエスだ。クライスラーのような協力関係ではない。

ゴーン会長 2つめについてだが、今の自動車業界、これは、これまで5年間くらい言ってきたことだが、自動車産業はますます規模を必要とし、投資を分担し、知識やノウハウを分担し、ベストプラクティスを共用化しなくてはならなくなってきた。規模を拡大することによって競争力を維持しなくてはならない。

今後開発しなくてはならない電気自動車(EV)、バッテリー、ハイブリッド車、ディーゼル車、ガソリン車の開発が必要だ。トランスミッションの開発もしていかなくてはならない。

そして、すべての新興国に進出しなくてはならない。一部ではだめ。ロシア、中国、インド、中東、南米。さらに新しい新興国にはインドネシアなどもある。

また、すべてのセグメントに参入しなくてはならない。インドにあるような超低コスト車から、高級車、ファミリーセダン、4×4まですべて参入しなくてはならない。
そうなると小規模、中型のメーカーではすべてには対応できない。何も抑制できない。EVはやらない、中国には入らない、という選択の余地はない。

手を組むほかの選択肢はない。そうなると、規模の経済を確保しつつ、各社はブランドアイデンティティを確保することができる。しかも独立性を維持し、(独立した)取締役会を維持することもできる。

どうぞ今後、われわれが規模を拡大し続けても、驚かないで欲しい。規模はテコでしかない。ツールでしかない。どう生かすかが問題だ。エンジンを分担したり、市場でのプレゼンスを有効活用しなければならない。大きくなれば組織も複雑になるが、規模を生かさないといけない。引き続き、多くの自動車メーカーと交渉を続ける。 

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