富士通の大混迷、「社長解任」全構図 無限ループにはまり込んでしまった
これに野副氏は激怒。直後の5月20日には、6月23日の株主総会をもってニフティの和田一也社長、村島俊宏取締役(弁護士。現在、富士通代理人として野副氏代理人との連絡を担当)の退任が発表された。
7月に入り、ニフティ新経営陣の下、フリービットとの経営統合交渉は再開される。が、9月25日の野副社長辞任と同時に交渉担当の事業開発室は解散を命じられ、社長直属プロジェクトだったニフティ売却の枠組みは完全に崩壊した。さらに、事業開発室長の石橋克彦氏は常務理事から常任顧問へ、2009年6月後半からニフティ売却案件を担当し始めた安達敏夫常務理事も常任顧問へ降格された。
それ以外に、野副氏の秘書役を務めていた窪田隆一秘書室長、河野誠パブリックリレーションズ本部長代理が、それぞれ沼津工場総務部長、本部長付へと降格された。
降格人事がほとんどない富士通において、この4名の人事は異例中の異例。人事担当幹部などから「反社会勢力とのかかわりにより、すでに公安も動いている。会社全体を危機に陥れた」と説明され、野副氏が動き出すまでその説明を信じ切っていた人物もいる。
一部経営幹部の身辺警備も強化された。ニフティ売却の過程で食い込もうとした反社会的勢力を切ったことにより、経営幹部の身にも危険が及ぶ可能性がある--。こんな壮大なホラーストーリーが関係者の間に刷り込まれていったのである。
ストーリーを捏造して笑ったのは誰なのか
富士通の間塚会長兼社長は7日の社員向けの説明メールにおいて、野副氏の行動は富士通の理念・行動規範「富士通ウエイ」の精神に適合していなかった、など「富士通ウエイ」なる横文字を連呼している。リリースでも繰り返し出てくるこの高邁な「富士通ウエイ」に鑑みれば、“好ましくない風評”がある鳥井氏と付き合うことは富士通社長として即、不適格と言っているわけだ。