富士通の大混迷、「社長解任」全構図

無限ループにはまり込んでしまった

■再現された9月25日の辞任強要場面

9月25日午前、定例取締役会を前にした8時30分ころ、野副氏は富士通本社32階の来賓会議室に呼び出され、その場で以下のようなやり取りがなされた。この会話の様子は野副氏の記憶を元に再現されたもので、野副氏から富士通の全取締役、監査役に送付された「辞任取消通知書」に別紙として添付されている。室内にいたのは野副氏のほか間塚道義会長、秋草直之取締役相談役、大浦溥取締役、山室惠監査役、山本卓眞元名誉会長、安井三也法務本部長。

山室「あなたは鳥井(洋一)氏、・・氏(知らない名前なので記憶なし)との付き合いがあるが、彼らの背後には房(広治)がいて、房のやっているサンドリンガムというファンドには●●組系の反社会的勢力がついている。企業のトップが反社会的勢力との関係を持てば上場廃止となる規定を知っていますね」

野副「そのような定めがあることは知っている。・・氏というのは初めて聞く名前なので会ったことはない。鳥井氏、房氏とは、2002年ころ半導体事業に関して富士通がAMD社と提携交渉をする際、クレディ・スイスに仲介を依頼したが、そのときの同社の担当者であった。秋草さんも社長時代に鳥井氏を連れてヨーロッパにIRに行っているのでよく知っているはずだ。鳥井氏、房氏についてはクレディの優秀なスタッフという印象が強く、サンドリンガムと言われてもわからない」

山室「鳥井氏から金銭を受け取ったことはないか」

野副「一切ない」

山室「ニフティに関してフリービットの石田氏と話を進めているが、フリービットの後ろにもサンドリンガムがいることは周知の事実であり、内々に●●証券から極めてブラックなファンドとの指摘も受けている」

野副「石田氏とは一度だけ昼食をしたことがある。その後秋草さんから注意をするようにと言われたことがある。ところが秋草さん自身がその後ソニーの出井(伸之、フリービット取締役)さんと話をして、石田氏はホリエモンを制した気骨のある立派な経営者だと言っていた。資金提供者は中央三井キャピタルだと聞いていた」

山室「あなたはメディアの人たちと長い時間電話をしている。特にブルームバーグの●●、NHKの●●は女性で、しかも経営会議のあった日に電話が多い。インサイダー情報を漏洩していると見られても仕方がないのではないか」

野副「この2名は業界のことをよく勉強している。極めて貴重な情報源としかいいようがない。インサイダー情報の漏洩などない。また会食には担当役員か広報担当者が必ず同席している」

山室「電通とも自ら接触しているがなぜか」

野副「東芝にHDDを売却するときに、一度西田さんに会う必要があった。2人で会うのは目立つので電通の高島さんに同席をお願いし、快諾してもらった。実際の会合では私も西田さんも『お世話になります』という一言だけで、後はワイン、本、ゴルフ等、趣味の話しかしていない。

大浦「代表取締役が反社会的勢力という極めてリスクの高いファンドと付き合っていることは重大な問題である。辞任が最適な道である。辞任していただきたい」

野副「私はそういうファンドがあることすら知らない。ましてや反社会的勢力だということも知らない」

大浦「知らないと言うことが問題であり、責任は重い。富士通が上場廃止とならないために辞任を要求する」

野副「それしか方法がないというなら従わざるをえない」

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