富士通の大混迷、「社長解任」全構図

無限ループにはまり込んでしまった

この案件には当初から鳥井氏がかかわっている。富士通は03年7月、米AMDと合弁でフラッシュメモリ事業の新会社「FASL」を設立しているが、この際に富士通側のフィナンシャルアドバイザーを務めたのが、当時クレディスイスファーストボストン(CSFB)証券に勤務していた房氏や鳥井氏。富士通の案件をたびたび請け負ってきた。

鳥井氏は1961年生まれ。東大経卒後にペンシルベニア大学経営大学院を卒業して日興証券に入社。その後、CSFB証券、みずほ証券を経てSVP代表に。2005~06年にはYOZANのCFOを務めている。

2008年4月、富士通は第三者による客観的評価・分析を行うため、バリューアップ・コンサルティングの木村健太郎社長へニフティに関するコンサルティングを依頼する。この木村氏を紹介したのが鳥井氏。木村氏からはフリービットとニフティの経営統合の提案がなされ、両社が予備的な交渉を進めた。

本格的な交渉開始を機関決定する富士通の経営会議は、2009年2月9日午後に行われている。間塚会長、野副社長、秋草取締役らがいる場でニフティとフリービットの統合交渉を進めることを確認。統合方針をニフティ経営陣に伝えること、その後にニフティのデューデリジェンスを行うことなどが決まった。内部資料によれば、野副氏はこのときの会議で、「仲介しているのは鳥井さん」と発言している。しかし、鳥井氏の関与について、出席者から異論があった形跡はない。

富士通、ニフティ、フリービットの3者間で2月19日に秘密保持契約を結び、本格的交渉を行う段階に至った。しかし、ニフティとフリービットの間での話し合いも進む中、時期を同じくして秘密情報の漏洩が疑われる事態が発生し、交渉は混乱を来す。そして、5月11日には富士通があずかり知らない形で、ニフティ、ビッグローブ、IIJの3者提携が報じられ、ニフティ経営陣側が富士通の方針に反対した行動をとっていることが判明する。

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