富士通の大混迷、「社長解任」全構図

無限ループにはまり込んでしまった

(2)「調査致しましたところ(中略)当社が取引等の関係を持つことはふさわしくないとの判断に至りました。この旨を野副氏に対し、取締役、監査役から注意したところ、野副氏もこれを認め、当該企業(SPV)を当社プロジェクト(ニフティ売却案件)からはずすと明言しました」

(3)「(9月25日の)野副氏の弁明は、当該企業(SPV)の親会社自体(サンドリンガムキャピタルパートナーズ、以下SCP)は絶対当該事業に関与させてはならないと認識しており、現にそのように指示していること、また野副氏と親交のある人物(鳥井氏)は、野副氏の言葉を借りれば当該親会社(SCP)の代表者(房広治氏)の手先、窓口として機能していると認識しているとしながら、一方で当該人物(鳥井氏)についてはあくまで個人として見ており当該企業グループとは切り離して考え、当社プロジェクトに関与させていたとのことでした」

(4)「仮に当該企業(SPV)の風評ないし評価が真実であった場合、当社にどのようなリスクを発生させるかという観点から、(中略)辞任されたものと理解しております」

これをもって富士通は、野副辞任の理由を正確に開示したとしている。しかし、新たな争点が発生した。野副氏側は(2)(3)は事実でないと主張しているのだ。

(2)については、「調査が行われたことも知らないし、調査書も見ていない。そもそも9月25日に唐突に言われたこと」との見解だ。富士通は本誌に「調査書を作成したが、内容は明らかにできない」と説明。では、いつ調査書を作成し、取締役、監査役のうち誰が野副氏に注意したのかをただしたところ、日付すら「開示できない」との回答だ。ちなみに、外形的にはSPVは予備的交渉終了後に資金提供候補者ではなくなったが、これは関係者によると野副氏の指示によるものではない。

(3)の見解の相違はさらに重大だ。野副氏は辞任を迫られた9月25日に、このような弁明を行った覚えはなく、完全な虚構だという。富士通は「リリースのとおり」と説明するが、何らかの証拠を示さないかぎり、疑いは晴れない。

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