富士通の大混迷、「社長解任」全構図 無限ループにはまり込んでしまった
「無限大」を意味する富士通のロゴマーク。この会社の経営中枢の混迷ぶりも、メビウスの輪のように、永遠に抜け出せない無限ループにはまり込んでしまった。
3月6日、富士通は臨時取締役会を招集。野副州旦(のぞえくにあき)前社長が2月26日付で取締役、監査役に送付した「辞任取消通知書」への対応を協議した。結論は「相談役解任」。通知書の一方的な送付による信頼関係消失を解任理由に挙げた。
病気を理由にした昨年9月25日の辞任直後からいっさい姿を見せず沈黙を貫いた野副氏が、辞任から5カ月を経て辞任取り消しを求めたのはなぜなのか。
秋草直之取締役相談役らは、野副氏に社長辞任を要求しながらも、冷却期間をおいたうえでの職務復帰を約束しており、野副氏はそれを信じていたのだという。ところが、いつまでも待機命令が解かれないため、昨年12月、秋草取締役、大浦溥(ひろし)取締役、間塚道義会長兼社長らと都内で面談したところ、「復帰は10年4月頃で準備中」と説明された。ここで野副氏は目を覚ます。
どうして、これほど長期にわたって職務復帰できないのか--。それ以降、野副氏は一部の社内関係者と情報交換を行う中で、“架空の罪”を着せられた解任劇と確信するに至り、辞任取り消しを求めたのである。
まずは「辞任取消通知書」の中身と、富士通側の対応をトレースしておこう。
通知書で野副氏が現経営陣に要求したのは2点だ。第1点は、社長辞任の取り消し。9月25日の定例取締役会前に一部役員と面談し、その場で野副氏は「代表取締役が反社会的勢力という極めてリスクの高いファンドと付き合っていることは重大な問題である」「富士通が上場廃止とならないために辞任を要求する」と大浦取締役に迫られ、辞任をのまざるをえなかったと主張している。