富士通の大混迷、「社長解任」全構図 無限ループにはまり込んでしまった

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しかし、より踏みこんで“反社会的勢力”との判断がなければ、東証の上場規定にある「反社会的勢力の関与を受けていれば上場廃止」を引用する形での社長辞任要求にはつながらない。

つまり、「サンドリンガムには反社会的勢力が付いている」との前提が取締役幹部の間では共有されていた。何がこのような前提を生み出したのだろうか。その要因として浮かび上がるのが、大手証券担当者による富士通の秋草相談役への報告だ。

2009年5月上旬、ニフティの和田社長は「サンドリンガムについて社内でどのように認識されているかを調べ、富士通の秋草取締役に報告してほしい」と大手証券へ依頼している。これを受け、5月22日、大手証券の幹部や担当者は富士通を訪問した。

報告には秋草取締役のほか、ニフティ取締役の村島弁護士、安井三也法務本部長が同席。この場において大手証券担当者からは「武富士、YOZANに関係しているので、レピュテーションリスクはある。付き合わないほうがいい」といった言及があったという。しかし、サンドリンガムが違法行為を行っている、反社会的勢力と関係している、といった事実は知らない、とも報告している。あくまで市場における風評の話をしているだけだ。

ところが、野副氏の記憶に基づく対話録では、大手証券の指摘として山室監査役が「ブラックなファンド」と称している。風評を膨らませることで、「表面化すれば富士通は上場廃止になる」とのストーリーが作られ、それが富士通やその関係会社でかつて社長を務めた高齢の経営中枢首脳の間で信じ込まれたのではないか。野副氏を排除し、ニフティ売却交渉の頓挫を喜んだのは、いったい誰か。

危険人物に仕立てられた房氏、鳥井氏は、辞任要求の理由に名前を挙げられたことを問題視する。

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