加害者調査に見た「わいせつ教員」の思考の誤り 保護者の声と加害者調査から考える(後編)

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「アダルトビデオにも“女子高生もの”があり、生徒への性そのものを想像するのはたやすい。そこから内的抑止力という壁を、『思考の誤り』で超えてしまった場合、次の壁となる外的抑止力を乗り越えるには、痴漢だと電車、盗撮ならエスカレーターなどターゲットを選ばないといけません。

しかし教師の場合、目の前に対象となる子どもがつねにいる状態で、外的抑止力はほとんど働かない。さらに4つ目の壁も、教師という絶対的な権力と信用を濫用して、飛び越えてしまうんです」

加害者の年齢や妻子の有無はバラバラで、何十年と信頼を集めながら、定年間近に性加害に及んだケースも聞かれたそう。定年間際で、子どもがひきこもりになったり、介護問題による夫婦のトラブルが起きるなど、ライフイベントのストレスが引き金になる事もある。今井氏自身も、子どもへの性暴力は性的欲求だけでは説明できないと感じている。

背景のストーリーは全員違う

「大人なのに中学生が恋愛対象って、どういう事って普通は思いますよね? これは、単純にその人の精神年齢、つまり自分が対等と思える年齢が中学生なんです。自分の純粋さと中学生の純粋さが同じで、僕の気持ちは彼女にしかわからないという間違った解釈。子どもなら経験も上だから何とかなると考えてしまう。

奥さんに夫婦関係をコントロールされて我慢している人が、『僕が子どもを助けた』という尊敬の眼差しから喜びに繋がっていく人もいます。全員をひとくくりに小児性愛とは呼べないし、背景のストーリーが全員違って、単純な問題ではないんです」

さらに教員という職業に限っては、どうしても「治療」という考えが入りにくいと感じていると続ける。

「教員は停職すると情報が途絶えてしまうんです。子どもが目の前にいる環境だから、『わいせつを疑われたのは、自分の運が悪かっただけ』と捉える人も多く、無自覚から治療に結びつかないのが現実。治療できる医師や支援できる人も専門家も含めて、圧倒的に社会資源が少ないんです」

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