1週間で5万人署名「わいせつ教員」の根深い問題 保護者の声と加害者調査から考える(前編)

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教員からのわいせつ被害にあった子どもたち、そして子どもの母親たちは苦しい日々を過ごしています(写真:mits /PIXTA)
学校教員の生徒に対するわいせつ行為が深刻化しています。しかし、現行法ではわいせつ行為で懲戒免職を受けても、最短3年で教員免許の再取得が可能で、教員はふたたび教壇に立つことができます。また、教員免許の再取得不可を目的とした法改正も検討されていますが、今国会での法案提出は見送りとなりました。そんななか、当事者たちは今どのような思いを抱えているのでしょうか。被害にあった生徒の保護者団体の取材と、加害者調査を行う奈良大学・准教授の今井由樹子氏へのインタビュー(後編・11日配信)から、問題の本質に迫ります。

文部科学省の調査によると、2019年度にわいせつ行為で処分を受けた公立小中校や高校などの教員は273人と、前年度の282人に次ぎ過去2番目の多さとなった。

調査書から具体的行為を抜粋すると、「体を触る」が84人、「性交」49人、「盗撮・のぞき」33人と、娘2人を育てる筆者として直視しがたい記述が並ぶ。

“わいせつ処分教員”は2013年度以降200人超の高止まりが続いている。耐え難い現実を前に、わいせつ行為をした教員を再び教壇に立たせないよう訴える声が広がった。

だが、去年暮れに、文部科学省は、わいせつ教員による教員免許の再取得不可を目的とした法改正を「見送る」と発表。萩生田光一文科相は「じくじたる思い」と会見で語るも、胸がつぶれる悲しみを感じたのは、わいせつ被害を受けた本人を含む家族だ。

子どもが教員によるわいせつやいじめ被害にあった保護者を中心に結成された「全国学校ハラスメント被害者連絡会」は、2020年9月、インターネットを通じわずか1週間で5万4000人分の署名を集め、文部科学省に陳情を行った団体だ。

普通の主婦たちの集まり

「私たちなんて大学教授や活動家でもない、フツーの主婦の集まりですから」

あっけらかんと語るのは、団体の共同代表を務める大竹宏美さん。謙遜しつつも、その行動力の原点にあるのは「次の被害者を生みたくない」という一心だ。

「メンバー全員の思いは同じで1つ。被害にあうのは自分の子どもだけでもう十分なんです。子どもが大きくなって、自分たちが年老いたときに状況が今と何も変わってなかったら……親として絶対に後悔するし、死んでも死にきれません」

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