1週間で5万人署名「わいせつ教員」の根深い問題 保護者の声と加害者調査から考える(前編)
文部科学省は、各教育委員会が全国の教員の懲戒免職処分歴を閲覧できる官報システムの見直しを進めている。当初は「わいせつ行為」などの具体的な理由が示されず、処分情報まで共有されない方針だった。だが去年12月末、処分歴がわいせつ行為であるとわかる仕組みを導入する事を明らかにしている。
再交付の厳罰化こそ至らなかったが、システム見直しに大竹さんを含む多くの保護者の声が考慮された事は、紛うことなき事実だろう。しかし、当の本人は現状には納得していないと首を振る。
「9月に署名を集めて陳情したときも、文部科学省は真摯に受け止めますと受け取ってくれましたが、『オフィシャルに何かコメントはしない』とも言われ、突き放された感じも受けました。第二段ではないけど、被害にあったご家族のアンケート調査も含め、声を届ける方法を考えていきます」
陳情の際には『地方自治体を通さない直接子どもと保護者へのアンケート調査の実施』も要望。文部科学省にもわいせつ教員の件数を“報告を受けて発表”するだけでなく、定期的な聞き取り調査が求められる。そのためには疑わしいケースに対し、教育委員会や学校と距離を置く第三者機関の設置も必要だ。
もう二度と同じ被害者を生みたくない
大竹さんは陳情の最後、文部科学省の担当者に保護者として語気を強めて、自身の所懐を告げたという。
「子どもの性被害に対して『いたずら』という単語を使わないでくださいとお願いしたんです。子どもの事を考えて明言を避けたいのもわかりますが、いたずらなんて言葉では絶対にすまされません。わいせつ行為は『性加害』であり、自分たちをはじめたくさんの被害者がいるんだと、文科省の皆さんにも感じてほしかったんです」
子どもが被害を受けてなお、「もう二度と同じ被害者を生みたくない」と、立ち上がった母親たち保護者。その“隠された声”が、学校に、地域に、そして国に届く事を願っている。
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