1週間で5万人署名「わいせつ教員」の根深い問題 保護者の声と加害者調査から考える(前編)
「娘が小学校の頃、担任の先生からわいせつ被害にあいました。娘は心身ともに疲れ切ってしまって……。『嫌なところに自分の命を懸けてまで行く必要はない』と、私から学校に行かなくていいと伝えました。今でもPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような状態でフラッシュバックもします。
口癖のように『あの学校じゃなかったら、あの先生じゃなかったら』、そして、『あのクラスじゃなかったら』と言います。親としても、クラス替えが違っていたら、こんな事になっていなかったのにと思うと……悔しくて悔しくて」
具体的な表現は避けつつも、淡々と放つ言葉の端々に保護者としての悔恨があふれる。教員のわいせつ行為が氷山の一角と言われる裏には、プライバシーの問題もはらんだ『声の上げにくさ』がある。それでも、学校を相手にわいせつ被害を訴えた大竹さんだが、現実は想像以上の逆風だったと振り返る。
親御さんの気持ちも理解できる
「被害にあった方が情報や証拠を積み重ねて訴えないといけません。実は娘の学外の友人からも、『私も気持ち悪い思いをしたことがある』と打ち明けられました。一緒に彼女のことも支援したかったのですが『やっぱりママにダメって言われた。怒られるから』と断られました。その町に住む以上、下の子どもが同じ学校に通う事になり、学校側の圧力も出てきます……。大きな権力と戦うんだという覚悟が必要なんです」
友人の親御さんの気持ちも、同じ被害者として理解できるからこそ強くは言えないと大竹さんは唇を噛んだ。だが、それ以上に憤りを感じたのは、わいせつ行為を行った教員たちの現状だった。
「わいせつ行為をした教員には他の学校に転任し、担任こそ持たせて貰えなかったそうですが、今も教壇に立っている人もいます。そういった情報も自分で調べるしかないんですよね。
でも、何年か経てば、もっと遠くへ行ってしまえば、自ずと追えなくなってしまいます。過去を知らない人ばかりになった現場で、また被害者が出てしまう可能性もあります。親も子どもも教師を選ぶことはできません。だからこそ責任をもってほしいんです」
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