ダイバーシティは経営戦略の一環--桐山一憲・P&Gジャパン社長/ダイバーシティ経営大賞受賞記念スピーチ
このたびは、誠に栄誉ある賞をいただくことができまして、たいへんうれしく、光栄に存じております。また、審査員の皆さま、ありがとうございました。
「ダイバーシティ経営大賞」は2008年に創設されたと聞いております。2008年といいますと、リーマンショックが起こった年で、それが引き金となり、全世界そうですが、日本経済も不況に陥りました。いまだにショックを引きずっている部分もあると思いますが、こうした時代になると、得てしてダイバーシティなどは後回しにされがちです。
そうした中で、組織の多様性を活用することがビジネスにとって非常に大切だという信念のもと、(主催者は)同賞を3年間運営されてこられました。心の底から敬意を表しますとともに、今回の賞で弊社の取り組みを認めていただきましたことに対し、心より御礼を申し上げます。
今回、この賞をいただきまして、私は真っ先に社員向けのホームページで社員全員に「おめでとう」と伝え、祝福いたしました。ダイバーシティ推進のために社員一人ひとりがその重要性を認識し、日々努力をしていくということが不可欠です。
また、このダイバーシティの環境作り、あるいはカルチャーの変更というものは1年や2年でできるものではなく、長年かけて培ったものが今日ようやく成果として表れてきています。
会社が取り組んだ経営戦略の一つではありますが、従業員一人ひとりがそれを支えてくれた結果が、このような素晴らしい表彰につながったのだと思っています。
弊社では、日本だけでなく全世界でダイバーシティを経営戦略の一環として位置づけ、長年取り組んできました。「なぜ経営戦略なのか」という質問をよく受けますが、ダイバーシティはイノベーションを生みやすい環境にし、組織の競争力を高め、優秀な人材を採用することができます。
そして社員一人ひとりの力を引き出すことが可能になります。これは経営戦略そのものだと私どもは思っています。
ダイバーシティと言いますと、「企業の社会的責任」、あるいは「少子高齢化による労働力不足を補うための対応」といったことが時折聞かれます。結果として、そういうことがありうるかもしれません。
しかし、私どもはそうした理由でダイバーシティを推進しているわけではありません。あくまでビジネスを推進する、ビジネスを成長させるための1つの大きな戦略として、長年取り組んできました。
多様性の高い組織は多様な社員がさまざまなアイデアを出し、それらがぶつかり合い、議論されることによって、より大きなイノベーションが生み出されます。またこうした組織では、消費者の多様化するニーズをしっかりキャッチすることができます。結果として市場での競争力が高まります。
先ほど申し上げましたように、リクルーティングを通じて、多様な人材の中からより優秀な人材を獲得することも可能になっていきます。そして、そうした多様な人たちに、各自の強みや個性を活かして仕事ができる環境を与えることが、充実感を持って仕事に取り組んでくれることにもつながります。
違いを否定するのではなく、お互いにその違いをしっかりと理解して、それを尊重し合える環境に会社がなっていけば、それが最終的には組織の力になると思います。
ダイバーシティは弊社の強みであり、戦略であり、大切な資産です。性別や国籍、民族、文化、年齢、スキルの違いなど、さまざまな分野における多様性は、私どもの会社の持続的な成長を支えてくれるパワーそのものだと認識しています。
私たちの会社は、日本の消費者はもとより全世界の消費者の生活を、今よりももっと広く、もっと深く、よりよいものにしていきたいという大きなミッションを掲げていますが、ダイバーシティはそれを担う中心的な戦略の一つだと思います。
このたび「ダイバーシティ経営大賞」という非常に栄誉ある賞をいただきましたことで、弊社のダイバーシティという大切な資産を、これからますます強固なものにし、経営に活かしていきたいと、気持ちを新たにしております。本日は誠にありがとうございました。
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