「新刊本」が集結する現場へ行ってみた! 1日200万冊の本をさばく日販の技術

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750万冊を蓄える倉庫では、担当者がカートを押して棚の間を歩き周り、本をピックアップしていく。カートに入れる際には、書名や著者名の目視のほか、バーコードとやはり重さで、間違った本を選んでいないかをチェックする。重さチェックが、送品事故率は100万冊に1冊というシステムを支えているのだ。

しかし、本にまつわる数字と言えば、サイズ、ページ数、発売日、ISBNコード(バーコードの下に印刷された数字、10桁と13桁がある)くらいは出版社から提供されるだろうが、重さのデータは?ここで重量登録をしています。同じ本でも断裁によって重さが変わるので、誤差率を設けています」。流通計画室流通計画課係長の大熊祐太さんの解説に、思わず頭が下がる。

ファクス注文などもデータ化

熱心に説明してくれた大熊祐太さん
 

日販では、重さだけでなく、さまざまなデータの入力を行っている。「書店から注文が入る」とひとことで言っても、その形は様々だ。電話注文もあれば、ファクス注文もある。スリップに手書きという昔ながらのスタイルもある。それらをすべて読み取って、データベースに入力していく。なんのために入力するかというと、仕分けを自動化するためだ。

カートに乗せられた本は、そのままでは書店に届かない。段ボール箱に詰めて発送しなくてはならないからだ。また、新刊とは違い、届け先の書店ごとに、箱の中は実にバラエティに富むことになる。新刊が400点ほどであるのに対して、こちらは10万点からピッキングしたり、出版社から取り寄せたりするからだ。それを間違わずに1万5000の書店に仕分ける。しかも、新刊と違って、今日はあの書店には送らないが明日は送るという事態が発生する。

そこで、24時間稼働できるマルチスーパー2、通称MS2と呼ばれる仕分けも搬出も伝票発行も自動化したシステムが活躍する。このシステムは、1日あたり50万冊を、6000方面(≒6000店)を仕分ける能力を有する。前のモデルであろうMS1からどれくらいパワーアップしたのかと思ったら、MS2が初号機なのだそうだ。長男なのに二郎のようなネーミングだ。

バスケットで運ばれてきた本が、目的のカートリッジに自由落下で落とされていく。どこに投下するかは、本のバーコードで管理している。その本を受け止めるカートリッジにもバーコードがついていて、これが、集まった本をどの書店に送るのかの情報を持っている。カートリッジに本が集まり終わると、最後は人の手で段ボール箱に詰められる。

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