挨拶しない人が大体、仕事ができない納得理由 「基本中の基本」が意外とわかっていない

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驚いたのは、実践新任幹部塾の生徒が傾聴ができるようになって、別居中の奥さんが帰って来てくれたことです。「聞く姿勢」は会社に限らず、家庭でも大事なのです。

1on1ミーティングでは、人は育たない

昨今、人材育成を効率的に行う手法として、多くの企業が、1on1ミーティングを導入しています。1on1ミーティングは、定期的に上司と部下が行う1対1の面談です。

武蔵野も、上司と部下が1対1で対話をする「評価面談」(個人面談)を義務化しています。会社によって1on1ミーティングの時間に差があります。「30~60分程度」の実施時間を設けているケースが一般的です。

ですが私は、「30~60分では長すぎる」と考えています。わが社の評価面談は、原則「10分」です。面談は、「短い時間で終わらせる」ほうがいい。時間が長くなると、それだけ不確定要素が増えて、不公平で不正確になります。

面談は、短ければ短いほど正確です。1on1ミーティングは、「時間は短く」「回数を多く」が基本です。コミュニケーションをよくするには、接触した回数が決め手になります。コミュニケーションは、「質より量」が大原則です。

どんなコミュニケーションを取ったか(=質)よりも、どれだけ多くコミュニケーションを取ったか(=量)のほうが大事です。

コミュニケーションは、「感情」と「情報」のやりとりです。

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「○○さんを好きだ(嫌いだ)」「自分は、こう思う」「それについては不快だ」という感情。

「こういうことがありますから、こうしてください」「お客様は、こう言っておられます」「ライバル会社はこうです」という情報。

この「感情」と「情報」のやりとりの回数が、会社の業績に正比例します。

半期に一度面談をしたくらいでは、社員の気持ちをカバーすることは難しい。半期に一度、1時間の面談より、1回10分でいいから、毎月面談をしたほうが上司と部下の価値観はそろいます。

その点、わが社は、毎月の面談のほかに、直属上司と部下による「サシ飲み」や、ほぼ初対面の幹部社員と夢を語る「夢の共有」などを仕組み化しています。これは接触回数を増やすためでもあるのです。

小山 昇 武蔵野 社長

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こやま のぼる / Noboru Koyama

1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催している。1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年、2010年には「日本経営品質賞」を受賞している。著書多数。

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