「アクア」が10年目でも根強く売れている理由

家電のような感覚で選べる「型落ちの魅力」

「アクア」は2011年12月に発売され、今年で10年目を迎える(写真:トヨタ自動車)

2020年1~12月の乗用車ブランド通称名別順位(一般社団法人日本自動車販売協会連合会発表)を見ると、14位にトヨタの「アクア」が、前年比は57.4%とはいえ年間販売台数5万9548台でランクインしている。

アクアのデビューは2011年12月だから、今年で10年目を迎える古株だ。同族コンパクトカーの大ヒットモデル「ヤリス」がありながらも、アクアはなぜコンスタントに月販5000台を維持し続けているのだろうか。

いまだ色あせない優れた燃費性能

アクアは「ハイブリッド専用車」として登場し、デビュー当時は世界一を誇った「燃費性能のよさ」が特徴となる。2011年のデビュー時で、JC08モードの燃費性能は最高で35.4km/l。現在のWLTCモード燃費表示では、最高が29.8km/lだ。

この最高値は車両重量の最も軽いエントリーグレードの値だが、中上級グレードでも27.2km/lを誇る。今でも十分に立派な数字だ。

2020年12月に発売されたばかりの日産「ノートe-POWER」でさえも、WLTCモードの最高値は29.5km/l。2020年2月発売のホンダ「フィット e:HEV」も最高値が29.4km/lだ。

2020年12月に発表された新型「ノート e-POWER」(写真:日産自動車)

しかも、両モデルとも最高値をたたき出したグレードは1つだけ。他グレードはノートe-POWERが28.4km/l、フィットe:HEVが27.2~28.8km/lとなる。つまり、9年も前にデビューしたアクアと、2020年デビューのライバルの燃費数値は、ほんのわずかしか違わないのだ。

実のところ、コンパクトカーにハイブリッドシステムを詰め込んで優れた燃費性能を出すことは、簡単ではない。コンパクトカーは、もともと軽量であるため燃費性能に優れる。

しかし、それにモーターと蓄電池をともなう重たいハイブリッドシステムを載せると、かさんだ重量の分だけ燃費が悪化する。そのため「プリウス」や、そのライバルとして登場したホンダの2代目「インサイト」は、もっと大きな車体をしていた。クルマが大きくなるほど、ハイブリッドシステムの重量増の影響が少なくなるからだ。

逆に言えば、アクアが燃費性能を高めることができたのは、ハイブリッドシステムを軽くできたからである。世界で初めて量産ハイブリッドを世に送り出した、トヨタだからこそできた偉業だ。そうしたハイブリッドシステムの軽量化の困難さが、デビュー10年目となるアクアが今も第一線で燃費性能を戦える理由となる。

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