出張1回で「隔離1カ月半」日中ビジネスの危機 世界初のロックダウンから1年経った中国の今

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今回、三宅さんが大連に入ったのは、中国滞在に必要なビザ更新のためだ。2020年4月だった有効期限は特例で1年延長されたものの、新たな期限も迫っていた。日中ビジネス往来が11月末に再開されたことを受け、三宅さんは10カ月ぶりに中国入りしすぐにビザを申請したが、思いがけない事態が起きた。

「本来の期限だった2020年4月に遡って1年のビザが発行され、今年3月にまた手続きに来いと言われた。1月29日に日本に戻る航空券を予約していたが、帰ると次来れるか分からないし4月ごろまで中国に残ることになりそうだ」

コロナ前は中国との往復には数万円の航空券と数時間のフライトで足りたが、今は多大な時間と費用がかかる。

出張でかかった費用は約40万

中国政府は入国者に原則2週間のホテル隔離を義務づけている。その後は地域によって違うが、年末にクラスターが発生した大連市はホテル隔離明けに1週間の自宅隔離と「社区(自治会に相当)経過観察」を加え、「2(週間)+1+1」ルールとなっている。

隔離先のホテル(写真:三宅さん提供)

社区の経過観察期間は外出OKだが、タクシーも含めた公共交通機関の利用は不可で、毎日健康状態を報告しなければならない。日本に戻ったら戻ったで、2週間の自宅待機を求められる。1往復で1カ月~1カ月半軟禁状態に置かれる。

三宅さんによると今回の往復でかかった費用は約40万円。フライトが減った分航空券は20~30万円で高止まりし、ホテル隔離中は1日500元(約8000円)を請求された。さらにホテルでのPCR検査(1回235元)も自費。中国渡航前に日本で陰性証明書を取得する費用は約4万円だった。

「当面は3カ月に1度ペースでしか行き来できない」と三宅さんは話す。

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