山崎正和が創りあげた「知の交差点」の磁場 開高健、高坂正堯、梅棹忠夫、小松左京も結集

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左から開高健、佐治敬三、山崎正和、高坂正堯の各氏(1979年、大阪・ロイヤルホテル、写真:サントリー文化財団)
昨年8月19日、「知の巨人」として知られた山崎正和氏が亡くなった。ジャンルを横断して活躍し、さまざまな知識人を結集した山崎氏は、どのようにしてその「事業」を成しえたのか。このたび上梓された『別冊アステイオン それぞれの山崎正和』を軸に、生前の同氏と交流が深かった小玉氏が解き明かす。

「創作者」「参加する観察者」「知の演出家」

昨年12月、大部の追悼文集『それぞれの山崎正和』が上梓された。没して4カ月後という早さで、予告ではみていたが、思ったとおりの充実した出来栄えである。山崎正和らしい格調を感じさせる実に美しい追悼集となっている。

60人を超える各分野の多彩な執筆陣の追悼とともに、本書からはサントリー文化財団のスタッフや編集陣の熱意と制作にかける並々ならぬエネルギーが感じられた。

まず、扉にエピグラフとして山崎正和の一文を措(お)き、次ページの見開きに雑誌『アステイオン』編集委員長の田所昌幸の「ライトが消えて幕が下りた。どんな芝居にも必ず終わりがあるのだし……」とつづく1行で書き始められる〈刊行によせて〉と題した心を打つ跋文(ばつぶん)がある。

目次にはプロローグとエピローグの間に4つの章「創作者」「思索家」「参加する観察者」「知の演出家」。山崎正和と深いゆかりを持った執筆者たちの寄稿が並ぶ。

別冊『アステイオン』追悼文集と銘うった本書であるが、これは哀しみと畏敬の念のこもった“アンソロジー山崎正和論”として読むべき1冊だと思った(自ら創刊し、育てた『アステイオン』が追悼の特別号を編む。これには泉下の山崎正和も喜んでおられるのではないか)。

ここですべての執筆者を取り上げる紙幅はないが、プロローグの高階秀爾から、エピローグの三浦雅士まで、多士済々の方々が名を連ね、それぞれ味わいある文章を寄せている。

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