つまり、浦島太郎も女性からのプロポーズを受けているわけです。「異類婚譚」だけではありません。未婚者が「愛」より「金」を圧倒的に信じる理由の記事でも紹介した「炭焼長者」も、DV夫と離婚した妻が、炭焼きで生計を立てている貧乏な五郎の家に泊めてもらい、女から告白して夫婦となる話です。
むしろ昔話の中で、男から告白して結婚したという話のほうがまれです。それくらい、結婚における主導権は女の側にあったのです。つまり、そもそも日本人男性は、3割程度の一部の恋愛強者を除いては、大多数が受け身だったのではないか、とするのが妥当でしょう。
昔話とは基本的に民間庶民の口承がベースとなっています。だからこそ、庶民の生活の原風景がそこに描かれているとみていいでしょう。
日本の伝統は「皆婚」ではない
日本が皆婚社会となったのは明治民法以降のせいぜい100年程度の歴史しかありません。昨今、未婚化や非婚化が騒がれて、さも「日本の長年の常識が覆された」ようなイメージばかり植え付けられていますが、むしろ日本の伝統は皆婚ではありません。
100年前の日本人が「全員結婚」できた理由の記事に書いたとおり、日本でもっとも婚姻数が多かったのは1972年の約110万件ですが、2015年は約64万組に激減しています。
その差、46万組ですが、その期間のお見合い結婚と職場結婚の合計のマイナス分がぴったり46万組です。つまり、日本の婚姻数の減少は、お見合い結婚と職場結婚というお膳立て婚の減少と完全一致するわけです。
言い換えれば、見合いや職場婚というこの社会的な結婚のお膳立てシステムとは、そもそも「受け身」な男たちのためにこそ必要な「上げ底システム」だったのです。そうなると、未婚化解消には、女性の能動的な行動が重要になってくるわけですが、それもまた難しい相談です。
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