昔の日本は「告白は女性からだった」意外な事実 あの浦島太郎もプロポーズを受けている?

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内閣府が実施した「平成30年度少子化社会対策に関する意識調査」によれば、20~49歳未婚男女の「結婚していない理由」の第1位は、男女とも「適当な相手に巡り合えない(男45.9%、女48.1%)」となっています。

さらに、この「適当な相手に巡り合えない」と答えた人だけを対象として、「巡り合えない理由は何か」についての男女差分を見ると、非常に興味深い結果が出ました。

男が「巡り合えない」理由は、「好きな人はいるが、相手が自分を好きになってくれない」という片思い状態が多いのに対し、女は、「そもそも人を好きにならない」という理由が最も男女差分で抜きんでて高くなっています。女性の場合、「既婚者ばかりを好きになってしまう」というジレンマも見受けられます。

誰かを好きになっても、相手から好かれない受け身の男」と「能動的だけど、条件などが合致せず、結局誰も好きになれない女」という状態なのですから、それはマッチングされなくて当然です。特に、本来能動的だったはずの女性が、誰も好きにならなくなったのではあれば、男女ともに「不動」の状態となり、結婚どころか恋愛関係にすら進まなくなるでしょう。

結婚の新自由主義の到来

皆婚を実現した社会のお膳立ては、今から思えば個人にとって「不自由な結婚」だったかもしれません。しかし、自由恋愛による「結婚の自由化」がもたらしたものとは、婚姻数の減少と離婚数の増加です。

自由に結婚していいと言われると結婚は作られず、壊されてしまうのです。それはまた、一部の能動的な恋愛強者男性だけが恋愛と結婚を何度も繰り返す時間差一夫多妻制を生むと同時に、一度も結婚しない生涯未婚の数をどんどん増加させていくことにもなるのでしょう。

これは、まさに自由な市場原理に基づく経済が格差を生んだように、恋愛自由市場による「結婚の新自由主義」の時代が到来したといえるのだと思います。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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