中満:日本は世界第3位の経済大国なので、困難な状況を多くの人々が直接感じることがあまりないのかもしれませんが、国内の相対的貧困問題、労働力不足や移民の問題など、さまざまな分野でほころびが出ていて、これからさまざまな政策や制度を根本的に見直さなくてはならない時期に来ています。
国全体を抜本的に見直すためには、グローバルでどのようなことが起きているのかを知ることが不可欠ですし、ビジョンを構築するためには透明性に基づいた信頼を再び確立していく必要がありますが、これは一朝一夕でできることではありません。
世界を変えようとする意思
須賀:私も今年、スタッフとして世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)に参加しましたが、日本には、世界における共通課題やグローバルアジェンダについて自らの言葉で世界に向けて力強く語るリーダーがひと握りしかいないという現実を衝撃と共に自覚しました。その理由は、世界を本気で変えられる、変えようとしている方が日本にはあまりに少ないからではないかと思っています。
中満:そうかもしれません。ここ2、3年の間、「#MeToo」から始まり、グレタ・トゥーンベリさんらによる、「Friday For Future」、「Black Lives Matter」 など、ソーシャルメディアなどを駆使しながら、世界で同時多発的にさまざまな運動が起こっています。
国連にいると本当によくわかるのですが、気候変動の問題などは、若者たちの運動がドライバーとなって、温室効果ガス排出ネットゼロを目指す各国の動きが大きく前進したと思います。
こういった運動が世界を変えうる力になるということを日本の方々はいまひとつ感じられてないように思います。日本の若い人たちに感じてほしい、信じてほしいことは、自分たちは力を持っているということ、自分たちは世界を変えることができるんだということです。
須賀:グローバルの大きな動きに対しても、日本は外からの圧力に追い込まれて、決断をしていて、積極的に仕掛けたり、働きかけたりする側としての意識を持てていないようにも感じます。中満さんのほかにグローバルの文脈で日本の生存戦略を考え抜かれている方は、どなたかいらっしゃいますか?
中満:船橋洋一さんは現実的かつグローバルな視点で意見を発信できる方として大変尊敬しています。また、誰か特定の人がいるわけではないのですが、日本の若い女性たちには注目しています。
日本では女性の活躍する場が非常に限られていますが、硬直した組織から自由になって起業したり、国際機関に移ったりと思いきって外に出て、自分を試そうとしている女性が増えていることはすばらしいことだと思いますし、そこから日本の活力は湧いてくるのだと思います。
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