日本人は「日本モデル」の不合理をわかってない 国連の中満泉さんが語る「国際社会での生存戦略」

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中満:ブラジル、インド、サウジアラビア、トルコといったリージョナルパワーについても注視する必要があるでしょう。これらの国々による影響力の行使が安定ではなく、不安定の方向に向かうことになれば、安全保障の分野だけでなく、貿易、経済といった分野にも大きな影響が出るからです。

問題にはさまざまな要因がありますが、国際情勢がマルチポーラーへと移行するなかでリーダーシップが欠如していることは重大な要因として言えるのではないかと感じています。冷戦時代は、良しあしはあるにしろ、米ソの両国が超大国としての責任感を認識していたと思いますが、今はリーダーシップが見えにくい状況になっており、それが一層、不安定さに拍車をかけているのではないかと思います。

須賀:覇権を取りにいく国が多極化している一方で、国際公共財を提供するような責任を果たそうとする国は増えていないということですね。

中満:そうですね。バイデン氏は大統領選で勝利した際に、アメリカがもう一度その責任を果たすのだと宣言していましたが、そのようなリーダーシップが戻ってくることを期待しています。

また、第4次産業革命といわれているように、今までのあり方とはまったく違う世界が刻一刻とものすごいスピードで近づいていることも私たちは理解しておくべきだと考えています。このような変化は不確実な部分が多く、これまで人類が積み上げてきた国際法や規範では、カバーしきれない変化が起きる可能性が高いと感じています。

マルチステークホルダーによる規範づくり

須賀:第4次産業革命が起きると、民間セクターの中でも、地図や検索プラットフォームといった公共財をグローバルに提供し始める企業が現れます。社会全体のシステムにおいて、そういった企業にも責任の一端をシェアしてもらう必要があり、国だけでなく、さまざまな主張、パワーを持ったステークホルダーがルールメイキングのプロセスに参加する必要があります。国連の側から見ても、テクノロジーの進化は社会のガバナンスのあり方を変える重大な契機になりうるとお考えでしょうか?

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