アリババ、上場申請書再提出で見えた"素顔" 不十分だった情報の断片が徐々に明らかに
サービスごとの商品取扱高もようやく判明した。アリババのネット通販事業は、祖業であるB to B型の「アリババドットコム」のほか、C to C型の「淘宝(タオバオ)」、B to C型の「天猫(Tモール)」に分かれている。今回の修正資料によれば、直近四半期実績の商品取扱高は、淘宝が前年同期比32%増の4兆7200億円、天猫が同46%増の2兆1600億円であることがわかった。
取締役には政界の大物も
もう1つ、今回の修正資料の目玉は、アリババのパートナーと取締役の詳細だ。アリババは2010年6月からパートナーシップ制度を導入し、創業メンバーを中心に現在27名でパートナーシップが構成されている。
アリババのパートナーシップ制度は、パートナーたちが取締役の過半数を指名する独占権を持っているのが特徴。外部株主の声に左右されずに意志決定を行うための仕組みだ。アリババが自国の香港証券取引所ではなく米国での上場を選んだのは、香港証券取引所がこの制度を前提とした上場に難色を示したためとされている。前回の提出資料ではパートナーの人数のみの記載だったが(前回時点は28名)、今回はパートナー全員の名前が判明した。
取締役は9名いることがわかり、グループの精神的支柱で執行主席兼会長の馬雲(ジャック・マー)氏やナンバー2で副主席兼CFOの蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏などの役割、プロフィールなども開示された。
非常勤の独立取締役には、香港特別行政区の初代行政長官を務め、現在は全国政治協商会議副主席である董建華氏や、米ヤフー共同創業者のジェリー・ヤン氏などの大物が名を連ねていることも判明した。
上場申請書を再提出するまでの間にアリババは、中国のモバイル検索最大手のUCウェブを買収している。UCウェブは2014年3月時点で2.64億人の月間アクティブユーザーを抱えており、アリババが今後モバイル分野を強化していくうえで重要な仲間だ。
アリババが上場によって得る資金の規模はいまだ明らかになっていない。が、こうして投資家の声に耳を傾けつつ情報開示を進めれば、その額は一段と大きくなり、買収も加速していくだろう。早ければ今夏ともいわれる株式上場を控え、アリババが少しずつ明らかにするその“素顔”に、今後も市場の一喜一憂が続くのは間違いない。
(アリババグループの詳細は週刊東洋経済2014年5月24日号〈2014年5月19日発売 〉の緊急特集「アリババの正体」に掲載)
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