PCのレノボ、「スマホ大攻勢」の勝算は? モトローラ買収で販売エリアを一気に拡大
異例の2連チャンだった。今年1月、レノボが明らかにしたM&Aは業界の度肝を抜いた。
何しろ、1月23日には23億ドルでIBMのパソコン(PC)サーバー部門買収を発表。その1週間後の29日に、今度は29.1億ドルでグーグル傘下の携帯電話大手、モトローラ・モビリティを買収すると発表。楊元慶(ヤン ユアンチン)CEOが、グーグルのラリー・ペイジCEOと笑顔で握手する写真が世界に広まった。
立て続けの大規模M&Aは、コンピュータ関連業界において、レノボが大きな存在になっていることを如実に示すものだ。
そもそもレノボは、1984年に中国科学院の計算機研究所の研究員だった柳傳志氏が設立した、国営系のベンチャー企業。当初は海外ブランドのPCを中国語に対応させて販売していたが、自社でのPC製造に移行。94年に香港株式市場に上場し、97年には中国国内トップに躍進した。
2004年に買収したIBMのPC部門との統合効果を生かすことで、13年4~6月期にはヒューレット・パッカード(HP)を抜き去り、世界最大のPCメーカーになった。そのレノボがなぜ、PC以外の領域で、立て続けのM&Aを行ったのか。
売り上げの8割がPC
その大きな理由は、PC市場が急激に縮小しているためだ。米IDCが3月にまとめた調査リポートによると、13年の世界PC出荷台数は、前年比9.8%減の3億1510万台だった。この減少率は同社が調査を始めて以来、最悪の落ち込みだ。
原因はスマートフォン(スマホ)やタブレット端末によるPC市場の侵食である。レノボは14年1~3月期には初めて四半期売り上げが100億ドル(約1兆円)を超えるなど着実な成長を続けているが、全売り上げの80%をPCが占めており、将来性を厳しく見られている。
株式市場からの評価も決して高くはない。モトローラ買収後に株価が急落したこともあり、株式時価総額は日本円換算で1.3兆円程度。赤字決算が続くソニーの1.7兆円を下回る。