パナとソニーの明暗を分けた、「就任1年目」

多額の資産売却益がソニーを狂わせた

2012年度の取り組みの「甘さ」が明暗を分けた(撮影:尾形文繁)

「改革のスピードが市場の変化より遅かった」。5月22日、東京・品川のソニー本社で開かれた経営方針説明会で、平井一夫社長はこう反省の弁を述べた。

その8日前に発表した2013年度業績で営業利益264億円(前期比88%減)と大幅減益に陥り、最終赤字1283億円に転落したソニー。パナソニックやシャープが公約どおり2013年度の黒字計画を達成したことと比べると、〝独り負け″の色合いが濃くなっている。

ソニーは今2015年3月期計画も最終損失500億円を予定し、赤字トレンドに終止符が打てない。家電大手の明暗の分かれ目はどこにあったのか――。

2012年度、資産売却に頼ったソニー

2011年度にテレビ不振などが打撃となり、ともに巨額最終損失を計上したパナソニックとソニー。顕著な差が出たのは2012年度決算だ。パナソニックは2011年度、2012年度と7000億円以上の最終赤字が続いた。それに対し、ソニーは2011年度の最終赤字4566億円から、2012年度には430億円の最終黒字に急浮上。営業損益ベースでも、2011年度672億円の営業損失から、2012年度には2301億円の営業黒字へとV字回復をしてみせた。

ただ、その改善幅の多くは事業に起因するものではない。資産売却によるものだった。ソニーは米国会計基準を採用しており、一時的な資産売却が、特別利益ではなく営業利益ベースに計上される。2012年度はニューヨーク本社ビル、大崎駅前の自社ビル、保有するエムスリー株などの売却益で、計2000億円以上の売却益を計上。それが、そのまま営業利益をカサ上げした。

2012年春に社長就任し、同年から3カ年の中期経営計画をスタートさせた平井一夫社長にとって、1年目は計画必達のために、資産売却という奥の手を繰り出した格好だ。

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