パナとソニーの明暗を分けた、「就任1年目」

多額の資産売却益がソニーを狂わせた

ソニー平井社長と同時期に就任したパナソニックの津賀一宏社長は、2012年度については「雌伏」を選んだ。同年度はのれんや無形資産の減損損失などで約4000億円を計上。結果的に7542億円の最終赤字と、黒字浮上したソニーとは対照的な連続赤字決算となった。

2012年度に構造改革のメドをつけた津賀社長は、2013年度から3カ年中期計画を開始している。そしてソニーとは異なり、この計画を達成できる線で業績を推移させている。

パナソニックが中計で最重視したのが、2014年度までの「赤字事業の止血」である。赤字事業として名指ししたのは、テレビ・パネル、半導体、携帯電話や回路基板、光事業など。当初は消費者向け製品が多かったのを、法人向け販売へシフトすることなどし、採算改善を図った。

それでも赤字解消に至らない場合は、撤退の決断を下した。プラズマパネル事業については、「1000億円の赤字を200億円にまでしぼったが、黒字転換する施策が見えず、撤退の最終判断をした」(津賀社長)。同様に半導体事業も拠点閉鎖や、外資メーカーとの合弁設立などリストラを敢行した。不振の携帯電話でも、国内の個人向けスマホ事業から撤退。いずれも13年度中に決断し、2014年度の赤字止血にメドを立てている。

今、パナソニックが見据えるのは、2018年度10兆円のグループ売上高目標(2013年度売上高7兆7365億円)だ。かつて売上高を重視し、テレビなど大型商品に傾倒したことが、採算悪化につながった経緯があるだけに、懐疑的な声も上がるが、「今は体質的に売り上げを伸ばせば、利益が上がっていく形に変わっている。何をやれば赤字になるかもかなり見えてきている」と収益体質の転換に自信を示す。

5月21日に開かれたアナリスト向け事業戦略説明会でも、「B2Bソリューションで売上高2.5兆円、うちわが社で1.5兆円を目指す」(AVCネットワークス社の宮部義幸社長)など、強気な発言が目立った。

まだ課題の多いソニー

いま一度、ソニーの話に戻ろう。2013年度に完全に挫折してしまったソニーの平井社長は、新たな中計を発表せざるをえなかった。「構造改革をやり切り」(平井社長)、2015年度に4000億円の営業利益を達成する、というものだ。

売り上げ重視の姿勢については、ソニーは目下、転換を図っている。テレビ事業の立て直しのため、今年7月に「ソニービジュアルプロダクツ」として100%子会社へとする。22日には「(テレビ事業は)販売台数の減少リスクが顕在化しても、市場変化に柔軟に対応し、損益インパクトを抑える体質になってきた。テレビの今期黒字化は達成可能だ」と平井社長は述べた。

デジタルイメージング、ゲーム、モバイルのコア3事業についても、「(こうした事業の)利益未達については、売り上げ増加に解を求めたことが、最大の反省材料。計画に詰めの甘さがあった」と吉田憲一郎CFOは釈明した。

「構造改革を先送りしない、強い決意を持って取り組む」。そう強調する平井社長にとっては、今年こそ周回遅れの構造改革の本気度が試される年になる。

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