アリババ、上場申請書再提出で見えた"素顔" 不十分だった情報の断片が徐々に明らかに

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中国・杭州にあるアリババ・グループの本社

中国最大手のネット通販会社、アリババグループ・ホールディングは6月16日、約1カ月前の5月6日に米証券取引委員会(SEC)に提出した上場申請書の修正版を届け出た(ともに米国現地時間)。前回提出した資料は情報開示が不十分とみなされ、SECからの要望で修正提出を迫られたとみられる。

今回明らかになった内容の1つは、ネット通販事業を通じた商品取扱高の詳細だ。前回の提出資料で商品取扱高は年間約25兆円(1ドル=100円換算、以下同)という情報のみだったが、今回の修正資料では、2012年4~6月期までさかのぼった四半期ごとの数値とそのうちのモバイル比率、さらにモバイル経由の売上高も明らかになった。

取扱高は楽天の13倍

直近の2014年1~3月期の商品取扱高は、前年同期比46.2%増の6兆8800億円(1元=16円換算、以下同)だった。前四半期比では18.7%減となっているが、これはアリババが毎年11月11日の「独身者の日」(中国名「光棍節」)に大規模イベントを仕掛けているためで、その影響を除けば成長が続いている。ちなみに、昨年の「独身者の日」は1日に6000億円弱の商品取扱高があった。

アリババは自社で商品を仕入れたり販売したりしないマーケットプレイス型のビジネスモデルで、直販が主体のアマゾンとは異なる。米国のイーベイや日本の楽天とビジネスモデルが近い。サイト上の広告収入やサイトで行われる売買の手数料が主な収益源だ。

同じ四半期で見ると、イーベイの商品取扱高は1兆6186億円、楽天は5033億円だった。競合の比較で見れば、アリババで行われているネットショッピングの規模が、どれだけ莫大かがわかる。

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