泣く子も黙る「スタジオドラゴン」作品
『Sweet Home』が本流を行く手堅さは制作背景からも感じることです。原作はNAVERウェブトゥーンで英語・日本語・フランス語・スペイン語・中国語など9カ国言語でサービス展開され、世界累積閲覧回数12億再生を記録する人気作。なお、ウェブトゥーンとは縦スクロールで読めるウェブ漫画のことで、「スマホでサクサク読みやすい」と日本をはじめ海外にも広まっている韓国発のもの。世界で渡り合える“ストーリー産業”を生み出そうと、政策によって促進されていった韓国IP活用の本丸です。
その戦略どおりにウェブトゥーン原作のドラマが増えています。日本では『愛の不時着』と人気を二分したドラマ『梨泰院クラス』もウェブトゥーン原作です。今回の『Sweet Home』のような地上波ドラマでは成立しにくいグロテスクな表現の多い作品も世界配信でIP活用できるため、新作ウェブトゥーンが続々と生み出されているわけです。
イ・ウンボクを監督に迎え入れていることからも本気度がうかがえます。『ミスター・サンシャイン』『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』『太陽の末裔 Love Under The Sun』といったヒットメーカーとチームを組んでいます。この作品群を挙げただけでも宣伝効果は十分ですが、プロダクション名を聞けば、さらに納得。泣く子も黙るスタジオドラゴンです。
韓国大手財閥のCJグループの傘下で資金力もあり、『愛の不時着』をはじめNetflixとのタッグによって世界的にも知名度も上げています。オープニングにプロダクション名がバーンとドヤ顔で入る作品の1つです。それを見て、「面白そうだと思ったら、やっぱりこれスタジオドラゴンなのね」と、通なNetflixユーザーがドヤ顔で返す好循環を生み出していそうです。
そんなスタジオドラゴン作品ファンによってか、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、カタール、UAE、インドなどの多くの国で『Sweet Home』が支持されています。
幅広い地域で結果を残す韓国発のNetflixオリジナルドラマや映画が多いことから、Netflixはさらに韓国コンテンツの投資額を増やそうと、韓国ソウル近郊に位置する京畿道の坡州市と漣川郡に2つのプロダクション施設を設立することをこのほど発表しました。
2015年から2020年までの5年間だけで韓国で製作されたNetflix作品数は80本以上に上ります。ドラマ1話平均の製作費1億円は当たり前と言われ、総投資額は7億ドル(日本円で約728億円)という圧倒的な数字。これを上回る勢いで、投資拡大を進めていくというのです。スタジオ増強で製作環境も向上し、正の連鎖まっしぐらです。
ロマンス系ばかりでなく、ホラーにまで韓国イケメンと美女をそろえて、ストーリーにアジアらしい味わいを重ねる『Sweet Home』はそんな韓国の好調ぶりがわかる作品でもあるのです。未発表ゆえにシーズン2をにおわせるラストのシーンにはもどかしくなりますが、世界ヒット級のアジアエンターテインメントを確立させようとしている強(したた)かさを確認するだけでも十分に価値があります。
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