デートでパンダを見るのが危険なワケ

パンダの結婚に人間の結婚観が映し出されていた!

マトモに考えるほうがバカらしいようなことだけれど

上野動物園にパンダがやってきたのは1972年のこと。相当なフィーバーだったらしいから、読者の中には覚えている人もいるだろう。ランラン(♀)とカンカン(♂)という、この2頭のパンダは、日中国交正常化の象徴としてやってきたのだ。

さて、今回はそのパンダの「結婚」を題材にしてみたい。

パンダの「結婚」? 奇妙に思うのも当然だと思う。はじめ、新聞でそんな取り合わせを見つけたときには、ぼくも驚いた。けれど、雌雄でやってきた彼/彼女らは、確かに、さっそく「結婚」の期待にさらされたのだ。

とはいえ、一口に「結婚」と言っても、そもそもその言葉の意味するところはどこまでも人間の観念の押し付けにほかならない。そんなのマトモに考えるほうがバカらしいようにも思う。けれど、フト逆に考えてみると、パンダの「結婚」をめぐる言説にこそ、当時の人間の結婚イメージが素朴に映し出されていると見ることもできる(かもしれない)。

そこで、報道にあらわれたパンダの「結婚」を見てみると、大きく3つに分類できる。1つ目は人間が「つがい」として扱うように決めること、2つ目は同居時に共に発情していること、3つ目は交尾そのものである。特に3つ目の用法なんて、そのまま交尾と書けばいいじゃんと思うのだけれど、それを衒いもなく結婚と書いてしまうあたり、いかに婚姻外性交への了解が少なかったかがうかがわれる。

さて、初めて2頭による繁殖が現実味を帯びたのは1973年のこと。「恋のきざし」があり、「同居」させる方針であることが明らかにされ、実際に「お見合い」が行われた。「結婚の条件はほぼ整い、あとはカップルの気持ち次第」だという状況である。そして、見事、彼/彼女たちは「結婚」に至る。

ここで言われた「結婚」とは「新婚生活」=「同せい生活」、つまり同居してお互いに発情している状況である。パンダの「同居」は短時間にすぎないから「デート」という表現のほうが適切かもしれないが、いずれにせよ、これは当時の結婚過程をよく反映したものだと言えるだろう。

60年代後半から見合い結婚を割合で上回った恋愛結婚は、70年代にも増加を続けたが、この統計上の増加の背景には見合い結婚を恋愛結婚と認識するようになる若者の変化があった。

親も了解済みのお見合いをした場合でも、本人たちに恋が芽生えて初めて結婚前提のお付き合いをするという混合型がかなり普及したからだ。1973年のパンダの「結婚」過程は、こうした混合型の結婚スタイルを投影したものだったのだ。

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