大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」 市場価格は急騰、発電所トラブルが追い打ち

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LNG需給がタイト化している要因について、中国や韓国の需要急増やオーストラリアのLNGプロジェクトでの設備トラブル、パナマ運河の渋滞なども挙がっている。

寒波とともに電力需給を逼迫させたのが、LNG火力と並ぶ主力電源である石炭火力発電所の設備トラブルだ。長崎県にある九州電力の最新鋭の石炭火力発電所(松浦発電所2号機、出力100万キロワット)は2020年12月29日にボイラーの付属設備で不具合が発生し、出力を50%に落として運転を続けざるをえない状況だ。

同じ長崎県にあるJ-POWERの石炭火力発電所(松島火力発電所2号機、50万キロワット)も石炭を細かく砕く装置の故障により、1月7日夜に運転を停止。補助燃料の重油で発電する異例の対応を決め、1月14日の運転再開を目指している。

相次ぐトラブルや不具合

J-POWERではほかにも、神奈川県の磯子火力発電所2号機(60万キロワット)がコンベアトラブルにより、2020年10月20日に運転を停止。現在、同1号機(60万キロワット)および2号機とも出力を下げた状態での運転を続けている。また、徳島県の橘湾火力発電所1号機(105万キロワット)も2020年12月25日にタービンの損傷により計画外停止に直面。現在、復旧に向けて作業中だ。

関電のエリアでは、同社の原子力発電所4基が設備トラブルや定期検査で稼働を停止しているうえ、石油火力の御坊発電所3号機(60万キロワット)で1月4日の起動時に不具合が発生。LNG火力の姫路第二発電所既設6号機(60万キロワット)でもメインタービンの軸受け温度の上昇により、出力抑制を余儀なくされている。

他のLNG火力発電所でも、燃料であるLNGの確保状況をにらみつつ、低い出力での稼働を余儀なくされている発電所が少なくない。

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