ESG投資のプロが語る「脱炭素マネー」の潮流 気候変動が生み出すリスクとビジネス機会

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気候変動がもたらすリスクとビジネス機会が資本の流れを大きく変えた(写真・Boomberg)
世界的な気候変動リスクへの関心の高まりと各国政府の脱炭素宣言もあって、環境・社会・企業統治を考慮したESG投資は全世界で急速に拡大している。中心的な担い手は、世界展開する欧米の大手機関投資家だ。
その1社であるHSBCグローバル・アセット・マネジメントで機関投資家ビジネス部門のESGリーダーを務めるサンドラ・カーライル氏は、ESGに関する資産運用業界のスポークスパーソン的存在であり、責任投資原則(PRI)のボードメンバーを務めた経験も持つ。同氏に、世界のESG投資の動向や日本企業のESG活動の評価などについて聞いた。

ESGは資本の流れを変えた

――主要各国が2050年までのカーボン・ニュートラル達成方針を宣言したことを受け、世界のESG投資にはどんな変化が見られますか。

ESGは資本の流れに大きな変化を与えた。ESGは今や投資分析の重要な要素となった。気候変動はますます現実のリスクを生み出すと同時にビジネス機会をもたらしている。投資家は世界をESGの「レンズ」を通して見るようになり、それがビジネスへの資本の流れを変えている。

例えば、日本は1980年代以来、太陽光発電の技術でリーダーだった。ただ、1990年代に入っても太陽光技術の価値はあまり高く評価されなかった。でも今は、そうした技術を持つ企業が高く評価されるようになっている。

投資家はクリーンエネルギーやヘルスケアのようなESGの解決策に資金を投じるようになった。特定のESG関連指数に投資する投資家もいるし、ポートフォリオをゼロカーボンに近づけようとする投資家もいる。HSBCが取り組んでいるようなナチュラル・キャピタル(水資源や森林などの自然資本)のファンドに資金を投じる投資家もいる。

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