ESG投資のプロが語る「脱炭素マネー」の潮流 気候変動が生み出すリスクとビジネス機会
ほかの国々は必ずしもEUと同じタクソノミーを導入しないだろう。EUタクソノミーはかなり制限的であるためで、部分的に自国に合うものを取り入れることになろう。重要なのは、ローカル市場を反映した規則であることだ。スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードと同様に、他の地域とまったく同じものである必要はない。
日本は2022年にかけてEUタクソノミーの導入状況と欧州の投資家の反応を見たうえで将来、日本国内の投資家のための規則をつくることになるかもしれない。ただ、何がサステイナブル(持続可能)な事業活動かを投資家により多く情報開示することは、EU方式かEU以外の方式かにかかわらず、非常に重要な原則だ。
日本企業のESG活動の強みは
――HSBCが本社を置くイギリスはEUから離脱しましたが、HSBCはEUタクソノミーにどう対応していますか。
HSBCの顧客はグローバルであり、EU域内のフランスやドイツなどでも大きなビジネスを行っている。われわれは規則に従ってEUタクソノミーを適用することになるし、グローバルな顧客のために何がいいかを考えている。顧客は5年ぐらい前からESG情報を求めるようになっており、われわれは世界各地域で非常に多くの情報開示を行っている。
――日本企業のESG活動における長所と短所についてどう見ていますか。
日本企業の長所として感じるのは、ESGに関する情報開示と説明の必要性を強く認識していることだ。日本でスチュワードシップ・コードが導入されたことが大きな契機となった。日本企業のSDGs(持続可能な開発目標)に関する行動方針をまとめたステートメントは非常に実践的なもので、それは日本に行って企業と対話するたびに感じる。
また、日本企業はSDGsを国際的に考え、それが日本企業にとって何を意味するかをよく考えている。ジェンダー・ダイバーシティ(女性の活躍推進)など社会問題に焦点を当てた取り組みも大きな強みだ。
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