日本の大企業はなぜ「脱炭素」こうも嫌がるのか 脱炭素に積極的な企業と経団連の間にある溝

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菅政権は2050年に脱炭素を実現すると掲げているが、それには大企業の壁が立ちはだかる(写真:ABC/PIXTA)

気候変動に対する実際の行動の始まりなのか、それとも聞こえのいい目標にすぎないのか――。昨年10月26日、菅義偉首相が2050年までの二酸化酸素排出量をゼロにするとの目標を掲げたとき、最初に沸き上がった疑問がそれだ。

確実とは言えないが、これまでに日本の大企業394社が参加する気候変動イニシアチブ(JCI)のような新たなロビー活動の台頭により、意味のある行動を起こす可能性が高まっている。JCIは自民党の有力者との関係を構築しており、その中には、将来的に首相になる可能性もある2人が含まれている。河野太郎行政改革担当相と小泉進次郎環境相である。

ソニーが抱いている「危機感」

昨年の11 月に JCI参加団体の4 社(ソニー、リコー、花王、ニッセイアセットマネジメント)社長が河野行革相と会談した際には、ソニーの吉田憲一郎氏が問題提起。日本が2030年までに再生可能エネルギーによる発電量を40%以上に引き上げないかぎり、ソニーは顧客から生産拠点の海外移転を迫られる可能性がある。

例えばアップルは、2030年までに再生可能エネルギーの使用率が100%に達していないサプライヤーとは取引を停止するとしているが、ヨーロッパにあるソニーの施設はこれに対応できても、日本では対応が難しいのが実情だ。現在、日本における自然エネルギーによる発電量は全体の19%で、政府の2030年の目標の24%に過ぎない。

こうした中で問題は、脱炭素社会の実現へ迅速な行動を促す企業が、一方で化石燃料や原発といった旧来の構造に依存する企業が構成する、経団連、経産省という強力な軸の抵抗を乗り越えることができるかどうかである。

日本がパリ協定の目標を確実に達成するために、環境保護主義者や地方自治体も含めて、2018年に設立されたのがJCIである。今年 1 月には、河野行革相との会談に参加した JCI 参加団体92社(日産、ソフトバンク、イオン、富士フイルムなどの大手企業を含む)が、2030 年までに、発電に占める再生可能エネルギーの割合を40~50%にすることを求めた。

経済同友会も昨年夏、再生可能エネルギーの占める割合を40%とする目標を設定している。JCI事務局のメンバーで日本の自然エネルギー財団(REI)の事業局長である大林ミカ氏は東洋経済に対し、「現在の技術の延長線上でも2030年までに再生可能エネルギーの割合を40~50%にすることができる」と語っている。

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