緊急事態宣言の経済損失試算が大きく違うわけ 人々の心理・行動の変化と収束をどう読むか

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ポイント③:すでに人々は「新しい行動様式」に対応している

前回の「緊急事態宣言」が個人消費に与える影響が大きかった理由として、人々が突如として強制的に「新しい生活様式」に対応せざるを得なかった面がある。

外食を減らして自炊をしたり、移動は自転車を使ったり、休暇は近所で過ごすようになったといった変化が急に生じた影響は大きかった。この点について、今回の「再緊急事態宣言」では「慣れ」や「経験」が影響を小さくするだろう。

不要不急支出はなかなか回復しない

筆者は2020年6月12日のコラム『消費を「不要不急」と「必要」に分けて調べてみた』にて、家計調査の502品目を独自に分類し、「不要不急支出」(代替・先送りされやすい品目)と「必要支出」(代替・先送りされにくい品目)を作成した。

足元のこれらの推移を見ると、「不要不急支出」は大幅に減少した後、足元では回復傾向にあるものの、依然としてコロナ前の水準を10%程度下回っている。一方で、「必要支出」はコロナ後に増えたまま高水準を維持している。これは、人々が感染「第1波」や「第2波」を経て、すでに「新しい生活様式」を定着させている可能性が高いことを示している。

このような状況では、新たに「再緊急事態宣言」が発出されたとしても、消費行動はそれほど変わらない可能性が高く、つまり、変化の余地は大きくない。「再緊急事態宣言」の影響を考える際には、この点も割り引いて考える必要がある。具体的には、昨年末と比べると、足元で回復した「不要不急支出」はボトムから半分程度であるため、「再緊急事態宣言」の影響は最大でも前回の半分程度と考えられる。

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