総務省が8日に発表した家計調査によると、10月の実質消費支出(2人以上世帯)は前年同月比プラス1.9%と、前月の同マイナス10.2%から大幅に改善した。2019年10月の消費税率引き上げの反動で前年同月比ベースの変化率はテクニカルに改善しやすかった面もあるが、季節調整済み指数の水準はコロナ前の19年11月の水準をも超えており、10月の個人消費はやはり強かったといえる。
むろん、これは11月に入って新型コロナウイルスの感染が拡大する前の数字である。また、冬のボーナスは減少が予想されており、年末年始の消費は振るわない可能性もある。これらを踏まえると、今後の消費動向は不透明感が強くなってきている。
そこで、今回はここ数年の「高級食パン」のブームで注目される「食パン」の消費データを用いて消費マインドの変化を分析する。結論を先に述べれば、家計の「プチ贅沢」と言える「高級食パン」の消費は回復しており、家計の消費マインドは底堅いと考えられる。
「プチ贅沢」は消費マインドを測るのに最適
「高級食パン」市場は2013年頃が初期といわれている。当時、大手コンビニチェーンが1斤250円とやや高額な食パンを販売した結果、ヒット商品となった。もっとも、「高級食パン」が幅広く認知され始めたのは2018年頃で、Google Trendsの検索数はこの時期から急激に増えた。また、同年の「日経MJヒット商品番付」では西の前頭に「1000円食パン」が選ばれた。
「普通の食パン」はスーパーやコンビニで1斤100~200円程度で購入できるが、「高級食パン」は1本(2斤)で1000円前後が多く、価格は2.5~5倍程度である。ブランド品などと比べれば手が届かない価格帯ではないが、ちょっとリッチな気分になれる「プチ贅沢」の代表のような商品であり、消費マインドの変化を占うのには最適といえる。とはいえ、「高級食パン」の消費動向のわかる経済統計はないため、家計調査と消費者物価指数を用いて日本人の「高級食パン」の消費動向を自分で推計してみる。
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